ファンドを通じ顧客である受益者自身の行動変容も促す

もうひとつ鎌倉投信の存在意義を確信したのは、鎌倉投信を通じてお客さまに行動変容が表れてきたことです。ちょうどファンドを立ち上げて5、6年が経過し、お客さまの数が1万人を超えてきた頃の話です。私たちは定期的にお客さまとの接点を設けていて、たとえばファンドマネジャーがそれまでの運用経過を報告する運用報告会や、お客さまと一緒に投資先企業を訪問する「いい会社訪問」、また「結い2101」を保有する受益者となるお客さまに集まっていただき、毎年テーマを決めて投資先の経営者や社員の方たちとディスカッションをしたり、企業展示をしたりする「受益者総会」など、さまざまな催しを開いています。

こうした催しを通じて、投資先企業の経営者は鎌倉投信のお客さまに、自分たちの会社は、ビジョン・ミッションを通じてこういう社会を実現したい、という世界観を話してくれます。そして、その世界観に触れたお客さまは、より善い社会を創るために自分たちにも何かできることがあるのではないかと思い、それが行動変容につながる様子を観てきました。

たとえばボランティアを始める方もいましたし、自分の生き方を考えて転職する人、あるいはご自身のお子さまを、投資先の企業でインターンさせるケースも見られるようになりました。

ここ2年はコロナ禍の影響もあり、オンラインでしか催しを開けていないのですが、オンラインだからこそ日本全国から参加者が集まれるというメリットもあります。前回の受益者総会では、2000人くらいの方に集まっていただきました。鎌倉投信自体はまだまだ小さい会社ですが、このようにお金や人の輪がよりよく広がっていく様子を見るにつけ、鎌倉投信自身は敢えて大きな組織を目指すことはせず、先に述べた「鎌倉投信の志」の実現にむけて取り組むことが大切であると感じています。