改正後:在職中でも毎年1回、“再計算”される!

しかし、2022年4月の改正によって、退職時、70歳時の再計算だけでなく、在職中であっても毎年1回再計算が行われることになります。これが「在職定時改定」という制度で、掛けた厚生年金保険料が速やかに老齢厚生年金の額に反映されることになります。早いうちに受給額にプラスされるようになると、就労意欲が促進されることにもつながります。

具体的には、毎年9月1日が基準日となり、その前月・8月までの厚生年金加入記録を基に再計算され、基準日の翌月・10月分から再計算後の年金額になります。通常、10月分は翌11月分と合わせて12月15日(金融機関が休業日の場合はその前日・前々日など)に振込がされますので、12月15日に預金口座を確認すると年金が増えている、といった具合です。その後も在職し続けていると、毎年その時期に老齢厚生年金の再計算が行われることになります。被保険者として厚生年金保険料を1年(前年9月~当年8月)掛けてきた分について、10月分から受給額が増えます。

【改正後】基準日(9月1日)に厚生年金被保険者の場合:その前月(8月)までの厚生年金加入記録を基にその年の10月分から改定

 

65歳時点で、42年で計算された老齢厚生年金であれば、70歳まで5年間勤めると、最終的に70歳からは47年で計算された額で受給することになりますが、それまでの間に毎年老齢厚生年金の計算対象となる年数・月数が42年に少しずつプラスされ続けることになり、その受給額も少しずつ増えることになります。

ただし、在職定時改定は、65歳以降厚生年金被保険者となっている場合に受給している老齢厚生年金が増える仕組みであることから、老齢厚生年金の繰下げ受給をするとその恩恵はなくなってしまいます。65歳から70歳までの5年間の制度であるため、70歳でその繰下げ受給をすると、在職定時改定が適用されないことになります。

また、生年月日によって65歳未満で受給できる、「特別支給の老齢厚生年金」には在職定時改定はありません。