DC加入可能年齢の拡大で老後資金の積み増し期間が延長

次に施行される改正のポイントですが、こちらは現在DCに加入していない、これから加入を検討されている皆さんにとってメリットのある大きなポイントとなります。それが『加入可能年齢の引き上げ』です。この引き上げ要件は前述の通り企業型と個人型で異なりますが、双方ともDCに加入できる年齢が拡大されます。

まず企業型の場合、現行ではDC加入可能年齢は65歳未満と定められていますが、これが70歳未満へと引き上げられます。ただしこの可能年齢については、皆さんが今在籍する企業によって異なりますので、企業型加入者の方はご自身が勤務する企業のDC担当者に確認してみてください。次に個人型(iDeCo)ですが、現行では加入可能年齢は60歳未満の公的年金(※2)の被保険者と定められていますが、これが 65歳未満に拡大されます。

この加入可能年齢の拡大が施行される時期ですが、企業型・個人型共に今年5月から適用となっています。この改正に基づき施行される引き上げについては、加入を検討している皆さんの中で、今までご自身の年齢が加入適用外となっていて諦めていた方にとっては朗報であると思います。

なお、すでに企業型・個人型を運用している加入者の皆さんについては、この改正に伴い個人的に何か手続き上の対応をしなければいけないことはありませんが、ご自身が運用しているDCに関する法律の改正ですので、簡単で結構ですので覚えておいていただければと思います。
(※2)公的年金とは国が行う年金で、国民年金・厚生年金・共済年金が該当

サラリーマンに朗報! 企業型・個人型の併用が原則可能に

今回の改正、最後のポイントですが、こちらもすでに現在企業型・個人型を運用している加入者の皆さんに共通して関係します。企業型加入者の個人型併用の緩和です。改正適用は10月からとなります。

現行では企業型DC加入者が個人型DCを併用する場合、在籍する企業で定めているDC規約によっては併用できないという制限があります。しかし今回の改正によって、DC規約の定めに関わらず原則加入することができるようになります。今回の改正で、今まで企業型のみ運用していた加入者の皆さんの中にも、個人型を併用したいという方が大勢おり、DCサービスを提供する金融機関でも、こうした個人型DC関連商品サービスに力を入れてきています。

以上が今年改正される大きなポイントです。本コラム冒頭でお伝えした通り、今回の改正は個人が自分の年金を運用するシステムをより拡大・一般化させる意図があると読み取れますが、こうした改正を実施する大きな社会的背景として、今日本が直面している超高齢化社会の中で起こっている労働人口の高年齢化に伴い、従来の年金制度モデルでは仕組みとして適切ではなくなっているという事があります。その意味では、今回の改正は適切であり、今の日本における年金システムとして見合ったものであると私は考えています。

“やらされる時代”から“やる時代”へ。これを読んでくださっている加入者の皆さんの中で、特に意識することなく、ご自身の運用を放置してしまっている方がいらっしゃいましたら、今回の改正はご自身の運用を改めて見直す良い機会だと思います。ぜひご自身の生活を豊かにすることを再度意識していただき、今回の改正で得られるメリットを積極的に活用いただければと思います。