DC業界への注目が加速 ─ いよいよ施行される法改正 ─

今年2022年はDC業界において大きな動きがあります。それは確定拠出年金法の一部改正が行われ、現在DCをやっている加入者の皆さん、これから運用を始めてみようと考えている皆さんにとっては運用によるメリットをさらに享受できるものとなりそうだということです。

今回の改正に先立ち、2020年6月5日に『年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律』が公布されました。今回それに関連する確定拠出年金法が2022年10月にかけて段階的に施行されます。

今回注目すべきは、この改正がDC運用における“拡大と緩和”を目的としたものであり、企業型・個人型どちらに加入するかで若干異なりますが、個人が自分の年金を運用するシステムをより拡大・一般化させる意図が読み取れるものだということです。

現在、企業型・個人型DCを運用されている加入者の皆さん、これから運用を始めてみようと考えている皆さん、それぞれの立場で改正のポイントを正確にご理解いただき、ご自身のDC運用が適切で満足のいくものとなるようにしていただければと思います。

今回の法改正については、すでに多くの関連情報が世の中に出ていますので、重複する内容となってしまう部分につきましては大変申し訳ありませんが、まだ具体的にどういったポイントが改正されるのかよくわからない方がいらっしゃれば、このコラムをお読みいただければご理解いただけるかと思います。ここでは私から、今回の改正で変わる大きなポイントを時系列で簡単に説明したいと思います。

老齢給付金の受給時期の延長 上限が75歳に!

今年4月、最初に施行されるのが、『受給開始時期の変更』です。こちらはすでに現在企業型・個人型を運用している加入者の皆さんに関係する部分です。

現行では企業型・個人型共に老齢給付金(※1)の受給時期の上限は70歳までですが、今回の改正により 受給時期の上限は75歳に延長されます。よって今後、加入者の皆さんはご自身が加入者資格を喪失する60歳(加入者資格の満期は加入者自身が60歳を迎える前月まで)から75歳までの期間中、ご自身で受給時期を選択することができるようになります。

ちなみに老齢給付金の受給方法について簡単に説明します。加入者は運用してきたお金をどの扱いにするか、またその受け取り方法を選択できます。

1つ目の受給方法は『年金として定期的に受け取る』方法です。これはご自身が運用して得たお金を『年金』として、分割して受給する方法です。この方法で受給するメリットは『公的年金等の控除』が適用される点が挙げられます。

2つ目の受給方法は『一時金として一括で受け取る』方法です。これはご自身が運用して得たお金を『一時金』とすることで一括して受給する方法です。この方法のメリットは『退職所得控除』の適用となることです。

そしてもうひとつ、『年金+一時金併用による受給』があります。この場合のメリットは、年金適用分が『公的年金等の控除』、一時金適用分は『退職所得控除』と、受給額の内訳をそれぞれどちらにするかで変わります。

この受給方法については、加入者ご自身が60歳なった以降、自分はどのパターンで受給するのが良いか、ご自身で選択できます。ただし、『年金』として受給を希望される方の場合、留意事項があります。それはDCの場合、年金の支給予定期間が原則5年以上20年未満と期限が設定されている点をご留意ください。
(※1)DC加入者(あるいは加入者だった人)が、加入期間中に運用で得たお金を老齢を要件として支給される給付金