働きたい60 歳以上の人が約9割という事実!
2021(令和3)年版「高齢社会白書」(内閣府)によると、現在収入のある仕事をしている60歳以上の 人の約4割が「働けるうちはいつまでも」働きたいと回答しています。さらに70歳くらいまで、もしくはそれ以上との回答と合計すれば、約9割の人が高齢期にも高い就労意欲を持っている様子がうかがえます。
2020(令和2)年の労働力人口は、6868万人でした。労働力人口のうち65~69歳の人は424万人、70歳以上の人は498万人であり、労働力人口総数に占める65歳以上の人の割合は13.4%と上昇し続けているのが現状です。徐々に生涯現役社会に向かっているのかもしれません。
2020年の日本人の平均寿命は女性が87.74歳、男性が81.64歳で、いずれも過去最長を更新しています。人生100年時代と言われるようになり、年金受給開始年齢をセカンドライフというならば、セカンドライフは約20年以上もあります。
2021年4月より、高年齢者雇用安定法が改正され、65歳までの雇用確保が義務化され、70歳までの就業機会の確保が努力義務となりました。生涯現役社会の実現に向けて、年金を受給しながら働くことが当たり前のようになっています。それにもかかわらず、在職老齢年金制度によって、年金の支給停止を気にする、つまり就労の制限を考えさせてしまう契機を与えてしまうことは、政府の推進する働き方と矛盾を感じ、こちらもモヤモヤするかもしれません。
まとめ
60歳以上の人に、収入を伴う仕事をしたい(続けたい)理由を尋ねたところ、主な理由は下記のような回答となっています。
・収入が欲しいから
・仕事そのものが面白いから、自分の活力になるから
・仕事を通じて友人や仲間を得ることができるから
・働くのは体によいから、老化を防ぐから
2021(令和3)年版「高齢社会白書」(内閣府)より
この中でも収入のために仕事をする人が約50%以上を占めています。少子高齢化で労働力人口の減少が予測される日本では高齢者の社会参加や労働力が期待されています。労働力の一翼となる高齢者の就労意欲を維持し、彼らが経済的にも豊かに過ごせるように、在職老齢年金制度の変革が求められています。
現役世代とのバランスなど様々な乗り越えるべきハードルはありますが、在職老齢年金は一定の給与や賞与があるということで老齢厚生年金(報酬比例部分)が調整されてしまう仕組み。生涯現役社会という時代に即した、さらなる変革が検討されることを期待します。