振替加算とは? 加給年金とセットで理解を!

加給年金とは?

厚生年金保険に240月以上加入している、65歳以上の老齢厚生年金受給者が、

・65歳未満の配偶者
・18歳到達年度末日までにある子(障害等級1級または2級の場合20歳未満の子)

の生計維持している場合、その老齢厚生年金受給者の年金に“加算”がつきます。それが「加給年金※1」で、こうした性質から年金の「家族手当」とも言われています。

※1 加給年金のさらなる詳細については、第2回『年の差のある夫婦が老齢厚生年金を多くもらえる!? 「加給年金」とは』をご参照ください。

振替加算とは?

その加算額が“形を変えて”支給されるのが、今回のテーマである「振替加算」です。

もう少し詳細に説明をしていきます。加給年金を受け取っている人の配偶者が65歳を迎えると、まず加給年金が打ち切られます。そして加給年金に替わって配偶者自身の老齢基礎年金に振替加算として加算されます。つまり家族手当だった加給年金から、配偶者本人の年金へと“振り替わる”ような側面があることから振替加算と呼ばれています。

振替加算の対象となる配偶者がその人自身の老齢基礎年金を受給する資格を得たとき(満65歳到達時)において、以下の条件を満たすと“振り替え”られます。

・1926(大正15)年4月2日から1966(昭和41)年4月1日までの間に生まれていること

・配偶者本人が老齢基礎年金の他に老齢厚生年金や退職共済年金を受けている場合は、厚生年金保険および共済組合等の加入期間を併せて240月未満であること:これはつまり、20年以上会社員や公務員として働き、厚生年金を納めていると対象外だということです。

・配偶者本人の共済組合等の加入期間を除いた厚生年金保険の35歳以降の(夫は40歳以降の)加入期間が、15年~19年未満であること(1951〈昭和26〉年4月1日生まれまでの人かつ生年月日により異なります)

ここまでのまとめとして、例えば1959(昭和34)年4月2日生まれの夫と、ずっと専業主婦で、かつ夫よりも年下の妻の場合、この先どのように加給年金と振替加算を受給するのかを図で表してみます。

 

この図を見て、「妻と夫(専業主夫)の立場が反対だとどうなる?」「加算対象の妻(夫)が夫(妻)より年上だったらどうなる?」 と感じた方もいるのではないでしょうか。ご安心ください。まず結論から言えば、いずれの場合でも、振替加算は支給されます。

そもそも、図のように夫が年上で妻が年下の場合ですと、妻が65歳に到達時、一定の要件を満たしていれば、翌月から妻の老齢基礎年金に振替加算が“自動的”に加算されるようになります。それは妻と夫(専業主夫)が逆転した場合も同じです。

しかしながら、ずっと専業主婦(専業主夫)だった妻(夫)が夫(妻)より年上だった場合は、そうはいきません。ここに落とし穴があります。

振替加算の対象となる配偶者が年上の場合の振替加算には、届け出が必要になるのです。日本年金機構から通知が届いたら、年金事務所に書類の提出をします。

ここまでお読みいただいて、加給年金と振替加算の複雑さを感じる方も多いでしょう。手続きの“落とし穴”や制度の複雑さから、過去には支給漏れとなるケースも発生しています。