働きすぎると振替加算がつかない?
振替加算は加算された配偶者自身の老齢基礎年金の一部として支給されることになります。そのためその配偶者にとっての夫(もしくは妻)が亡くなったり、離婚したとしても振替加算がなくなることは原則ありません。
しかしながら、生年月日上は振替加算が加算される配偶者であっても加算されないことがあります。それは本稿の冒頭でお示しした要件でもあるのですが、その人自身が厚生年金保険などに加入し、20年(240月)を超えている場合です。つまり、働き続けている配偶者には振替加算がつかないことになります。働きすぎると受け取れないのはモヤモヤしますね。
振替加算が加算される人(多くのケースでは妻)が結婚後も会社勤めをする場合、老後に自分の20年以上の厚生年金保険を受給することになると、「配偶者の扶養」という概念が薄れます。国民年金の加入期間の20歳から60歳までの40年間の半分である「20年」がキーワードとなり、厚生年金保険の加入期間が20年過ぎると、年金ではいわゆる“一人前”と判断されるからです。
振替加算を受ける配偶者の厚生年金保険などの被保険者期間が20年(240月)を超えてしまうことで加算がなくなってしまうことは、老齢厚生年金の額の計算が収入(平均標準報酬)と期間で計算されることを考慮すると、期間のみで判断されることにもモヤモヤしてしまいますね。
まとめ
近年、家族の在り方は共働き世帯が増えるなど多様化してきました。年金制度の法改正から大きく変化し続けているため、「夫婦で一つのお財布」のような従来の年金の考え方のみでは矛盾(モヤモヤ)する現象も起こりがちです。
振替加算は制度のしくみから加給年金とセットに考えることが一般的ですが、時代の流れとともに振替加算が終わりを迎えるのであれば、加給年金を含めた制度の見直しが必要になってくるのではないでしょうか。