ライフプランセミナーの講師を務める際に意識しているのは、私自身も参加者の皆さんと同じ現役世代だということです。同じ現役世代として、これまでに自分自身で経験してきたライフイベントも、“実体験エピソードトーク”として参加者の皆さんになるべくお伝えしたい、そんなことを心がけています。

セミナー終了後のアンケートで「参考になった!」との回答を数多くいただくのが、義父と我が家の介護の話ですね。もちろん、介護は人それぞれですから、我が家の話がそのまま参考になるとは思いません。ですから、「参考になった!」という回答は、「これからも頑張ってください!」とか「お互い頑張りましょう!」といった、参加者の皆さんからのエールや共感の声だと思っています。

そこで今回は、マネープランではありませんが、現在進行形で続いている我が家の介護経験の中から、今年の老人の日の出来事を紹介しましょう。また、我が家が義父の介護に直面した時のことを思い返し、「どこの誰に相談すればいいのか?」そんな話もお伝えしたいと思いますので、少しだけお付き合いください。

「介護のプロ」に助けられた、老人の日の出来事

ちょうど2ヵ月前の9月15日は「老人の日」。100歳を迎える高齢者に内閣総理大臣からお祝い状と記念品(銀杯)が贈呈されます。2021年の今年、表彰される対象者は4万3633人ですが、その対象者も含めて、現在、100歳以上の高齢者は8万6510人もいらっしゃるそうです※1。これは過去最多の水準で、しかも毎年増え続けています。まさに、「人生100年時代」ということですね。

※1 出所:厚生労働省プレスリリース「百歳高齢者表彰の対象者は43,633人」(令和3年9月14日)

そんな「老人の日」の当日、私と妻は義父の退院手続きで大学病院を訪れました。実は4年前から特別養護老人ホーム(以下、特養)にお世話になっていた義父(アルツハイマー型の認知症で要介護3)が、9月に入り右足大腿骨を骨折して緊急入院していたのです。

退院日当日、介護タクシーには本当に助けられました。これまで、認知症の他にも持病持ちの義父が、定期的に検査と診療で通院するときには、普通のタクシーを利用していました。今回は車イスでの送迎が必要で、いつもと勝手が違います。初めて介護タクシーを利用しましたが、車の装備自体が車イスの送迎用になっていることはもちろん、それ以上に、運転手さんの要介護者(=介護が必要な人)に寄り添う手際の良さと優しさの中に、「介護のプロ」というものを感じました。

病院から特養に義父を送り届けた後、特養スタッフの皆さんと今後の義父の生活について打合せをしました。相談員にケアマネジャーさん、そして看護師さんは義父を本当に親身になってケアしてくれます。今年の「老人の日」、義父と私と妻の3人は、介護タクシーの運転手さんを含め、「介護のプロ」に支えられているんだなぁ~、と感謝の念を新たにした一日でもありました。