〈前編のあらすじ〉
アパレル系のデザイン会社で働いている田所洋子さん(50代後半)。亡くなったお母様からの遺産5000万円のうち、4000万円を証券口座の口座に入れておいたものの、気づくと500万円のマイナスが。

それは“イケメン証券マン”に言われるがまま、投資信託を頻繁に買い換えていたためでした(いわゆる回転売買)。さて、田所さんはどうやってその“どん底”から立ち直ったのでしょうか?
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独立系アドバイザー・IFAとの出会いに救われた

さらに調べているうちにもう一つ、大事な情報を知りました。中立的な立場から資産運用のことをアドバイスしてくれる、IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)の存在です。何を隠そう、今の私がここまで立ち直れたのはIFAの真田さん(仮名)のおかげなんです。

実のところはIFAもいろいろで、自分に合った人を見つけるのはそう簡単ではありません。これもネットでとことん調べて、IFAを紹介してくれるサービスを見つけた末のことですけど、最終的に真田さんに出会えたのは本当にラッキーだったと思います。ちなみに吉岡さんみたいなイケメンじゃありません(笑)。

真田さんにはじめてお目にかかったとき、「これからの人生の『お楽しみプラン』を教えてください」と言われました。意表をつかれた気がしました。それまでの私は、母が残してくれたお金を守ることしか考えていなかった。定年後も今までみたいに楽しく暮らせたらいいや、くらいに思っていました。でもそれだけのことなら、ずっと会社で働いてきて年金を十分にもらえる私は、5000万円も要らないんですよね。もっと「攻めて」いいんだ、やりたいことを思い切りやっていいんだ、と今さら気づきました。

自分は何がやりたいんだろうと考えているうちに、どんどん夢が膨らみました。こう見えて私、料理を作るのが好きなんです。作ったものをおいしいって褒めてもらって、すごくうれしかった遠い記憶を思い起こして、小さなお店を開いたら楽しいかも、と。

どうせやるなら世の中の役に立ちたいとも思いました。おいしいって思ってもらうことが目的なんだから利益なんか出なくていい、子どもは無料にしよう、外国から来て苦労している人もタダでいいや、そしたら近頃、近所に増えている言葉とか肌の色とかが違う人たちと仲良くなれたりして……?

いろんなアイデアが浮かんできたら、それを実現するためにもっとお金を殖やしたいという意欲が湧いてきました。そういうことを意気込んで伝えたとき、真田さんの表情がみるみる明るくなったのを、妙にはっきり覚えています。もちろん仕事ではあるにしろ、ただのお客でしかない私の人生を一歩踏み込んで気にしてくれている、この人は信頼できる、そう思いました。