自分の表情を演出できるのがオンラインの強み

――2020年6月頃に徳島へ住まいを移し、以降オンラインでの相談を専門とされています。オンラインならではのメリットはありましたか?

自分の顔を見ながら相談者の話を聞けるというメリットは大きいです。

FPは知識を授ける人というよりも、本質的にはカウンセラーであると私は考えています。

YouTubeなどで簡単に情報を得られる今、「実際に聞いてもらって楽になった」「この人は私の話をしっかり聞いてくれている」という満足感や安心感が得られないと、FPの存在意義はなくなってしまいます。

だからこそ、自分の表情を作れるというのは非常に効果的なんです。もちろん、普段から意識してリアクションを取っているFPもいると思いますが、実際に目で確認しながらの方がやはり作りやすいですね。

――そのほかにもメリットはありましたか?

相談内容をレコーディングできるのもいいところだなと感じました。

実際に向かい合って話を聞いていると、場の雰囲気に飲まれて冷静な判断ができない相談者の方も今までいたと思うんです。そういう方にとって、後から見直せるのは大きなメリットだと思います。

また、レコーディングをお渡ししますと事前にお伝えすることで、聞き逃しやメモのし忘れがあっても大丈夫なんだと、相談者がリラックスできるんですね。FPとしては何気ない本心を聞き出したいので、そのためにも緊張をほぐしてもらうことは大切です。

――オンライン専門にすることで、顧客が減ってしまうかもという懸念はありませんでしたか?

それはなかったですね。というのも、ネットショッピングの普及もあり、商品やサービスの購入時に「そのお店がどこにあるのか」を重視する感覚が、ユーザーの中でなくなってきているように感じていたからです。

サービスの質に違いがなく家にいながら注文できるなら、そのお店が都内にあっても地方にあっても、気になりませんよね。同じようにオンライン相談をお願いするFPを選ぶ時、どこに事務所を構えているかを気にする人は少ないだろうという予感がありました。

それどころか、オンラインのみで活動しているFPの方が、地方に住んでいる人にとっては相談のハードルが低いとさえ思います。

例えば地方の人の立場からすると、東京での対面相談とオンライン相談の両方を行っているFPに対しては「実際に東京の事務所に足を運べる人の邪魔をするのは申し訳ない」と遠慮してしまうんです。しかし、オンライン上なら全員条件は一緒だから、そのバイアスが解消される。

実際、若干ではありますが、オンライン専門に変えてから地方のお客様は増加傾向にあります。