キャリアアップの手段としてFPを目指すという人も少なくありません。メーカーで事務職の仕事に従事する麻子さん(仮名・28歳)もその1人でした。
きっかけは会社がFPを招いて開催した家計管理の講習会でした。家計や老後資産の悩みについて一つ一つ丁寧に解決していく姿に「自分もFPになって、多くの人の助けになりたい!」と麻子さんは強く思うようになります。
しかし、肝心のFPがどんな存在かについてはまだまだ勉強不足。FPに必要な資格は? そもそも何をする人なのか? 生計は立てていける? など、疑問を解決していく数年間のストーリーを通して、FPのリアルを描いていきます。
FPの基本分野は6分野!幅広いお金の悩みのアドバイザーに
まず、そもそもFPとは何をする人なのか、麻子さんは“分かるようで分からない”と感じていました。
ファイナンシャル・プランニングとは人生の夢や目標を実現するための資金計画。お金の問題は人生のあらゆる場面に存在します。それら一つ一つに対し、豊富な専門的な知識でアドバイスを行っていくのがFPの役割といえるでしょう。
FPの専門領域は幅広いですが、一般的には
・ライフプランニング
・タックスプランニング
・リスク管理
・金融資産運用設計
・不動産運用設計
・相続・事業承継設計
の6分野に分けられます。それぞれどんな悩みを扱うかをおおまかにまとめると……
●ライフプランニング
貯蓄をするために家計はどう見直せばいい?
人生3大資金(教育資金・住宅資金・老後資金)とそのプランニングはどのように行う?
●タックスプランニング
納税額はどう決まる? どうやって把握する?控除とは?
節税するために何が利用できる?
●リスク管理
保険商品にはどんなタイプがある?
保険証券の読み方は?その人にとっての過不足ない保険加入とは?
今、加入している保険ってどんな内容? 今の自分には適している?
●金融資産運用設計
金融商品ってどう選ぶ?
リスクとリターン、リスク許容度とは?
●不動産運用設計
不動産の購入や譲渡にはどんな経費がかかる?
余っている土地はどう活用すれば?
不動産に関する法律って?
●相続・事業承継設計
遺言ってどうやって準備する?
家族には何を遺せばいい?
相続税や贈与税の仕組みは?
などなど……
もちろん、お金の悩みは一問一答のように解決するものではありません。節税のために各種控除を利用したり、資産運用の元手を作るためにまず家計を見直したりと、多角的かつ包括的なアプローチが必要となります。
そのため、FPは家計管理や投資税制、社会保険など複数の分野の横断的な知識を求められるのです。
資格がなくてもFPは名乗れる
次にFPになる方法について調べた麻子さんは、日本FP協会のWEBサイトで『FPは職業の名称で誰でも名乗ることができます』という文言を見つけます。
麻子さん「じゃあ、私も今すぐFPを名乗れるということ?」
例えば、弁護士などは資格を持っていない人が名乗ったり、まして独占業務と規定されている部分に携わると罰せられてしまいますが、FPは一般的な名称であるため、名乗ることやファイナンシャル・プランニングを提供することに法律上の制限はありません。麻子さんが気づいた通り、FPに関する資格を持っていなくてもFPと名乗ることは可能なのです。
しかし、前述の通りFPには幅広い知識が必要。相談者にとってその人が本当に信用できるFPかどうかは、資格の有無が一つの判断基準になるのが現実でしょう。
FPとしてやっていくには信頼を勝ち取ることが大切と考えた麻子さんは、資格の取得を目指すことにしました。