FPの資格は国家資格と民間資格に分かれる
FPの資格勉強を始めることにした麻子さん。しかしここでも疑問点が。
麻子さん「FPの資格っていっぱいある……どれから取ればいいのだろう?」
FPの資格には国家資格の「FP技能士」と民間資格である「CFP®資格」「AFP資格」があり、それぞれに認定団体や受験資格が違います。
「FP技能士」は国家資格
FP技能士は国家資格であり、ファイナンシャル・プランニング技能検定(FP技能検定)を合格することで取得できます。
1級から3級の3段階があり、3級が最も易しい等級です。3級は受験資格の要件も厳しくなく、「FP業務に従事している者または従事しようとしている者」と、原則誰でも申し込み可能です。なお、2級以上は一つ下の等級やFPとしての実務経験、あるいは日本FP協会が認定するAFP認定研修を修了しないと受験できません。
また、FP技能士の資格は後述のCFP®資格やAFP資格と違い有効期限がありません。
「CFP®」「AFP」は民間資格
一方の「CFP®」「AFP」は日本FP協会が認定する民間資格です。
日本FP協会によると、AFP資格は「専門家として必要な知識を持ち、顧客に対して適切なアドバイスをできるFPに与えられる資格」、CFP®資格は「25ヵ国・地域※1で導入されている世界共通水準の資格で、高度な知識とスキルを持ち、専門家としての確固たる倫理と経験を備えたFPに与えられる資格」とされています。
※1 2020年10月時点
麻子さん「世界共通水準のCFP®認定者って、なんだか憧れちゃうな……」
ただし、FP技能士と違い、CFP®資格とAFP資格は2年ごとに資格の更新が必要です。2年間で規定の研修などを受講し終えない場合、資格は失効してしまいます。継続的な研鑽が課せられていることから、CFP®資格やAFP資格はより実務的な能力を持っているFPの証明と言われているのです。
なお、AFP資格は前述の2級FP技能士と、CFP®資格は1級FP技能士と同等の水準と一般的には言われています。2級FP技能士の資格を取ると、日本FP協会が認定する研修、および登録手続きを行うことでAFP資格も取得可能です。
こうして資格について調べているうちに、せっかくならば最難関であり、信頼の証となりそうなCFP®認定者になりたいと思うようになった麻子さん。
実務経験はなかったため、第一歩として3級FP技能士、そして2級FP技能士を目指すべく資格スクールに入学しました。今は通信教育も多数のスクールがFP講座を開講していますが、麻子さんは直接講師に質問したいという想いから、職場と自宅の間にあるスクールに決めました。
授業のある日は、早めに出社し、定時で確実に仕事を終わらせ、終業後ダッシュでスクールに向かいます。週末も試験対策と多忙な日々を過ごしました。
ちなみに麻子さんがスクールに払った費用は約12万円。幸いなことに麻子さんが通ったスクールのコースは「一般教育訓練給付制度」の対象となっており、後日ハローワークより受講料の20%が支給されました。
資格を取ったものの、依頼がなければ収入もないシビアな現実
数年後、無事AFP認定者となった麻子さん(30歳)はそれまで務めていた会社を退職。独立系FPとして活動を模索していました。
「独立系FP」とは企業に属していないFPを指します。これに対して企業に勤務しながらFP業務を行っているFPは一般的に「企業系FP」と呼ばれます。
FPのおもな報酬は相談料や商品の仲介手数料※2、セミナーへの出演料や原稿の執筆・監修費など。このうち、企業系FPは自社で取り扱う金融商品を提案し、手数料をもらうスタイルを取ることが多いです。一方、独立系FPは相談料やセミナー出演、原稿執筆の謝礼などを主な収入源とするのが一般的です。
※2 金融商品を仲介・販売するには、例えば保険募集人や証券外務員など他の資格も必要
企業系FPなら勤め先からの収入があるかもしれませんが、独立系FPは依頼がないと収入も途絶えてしまう可能性があります。現に、麻子さんもFPとして軌道に乗ることがなかなかできず、貯金を取り崩す日々が続き、一般企業への再就職も頭をよぎりました