ブログやSNSの発信で認知度向上とブランディングを

独立系のFPとしてどうすれば人気が出るのか、どう実績を積めば良いのか麻子さんは悩んでいました。そんなある日、資格スクールで出会った先輩FPから「最近どうしてる?」と連絡が。麻子さんが思いきって助言を求めると、先輩FPは次のように教えてくれました。

「まずは多くの人に存在を知ってもらうこと。そのためには活動の場を増やしていくことが大切かな」

先輩FPの言う通り、FPの仕事は相談だけではありません。例えば、企業での研修やセミナー講師を務めることもあります。また、お金の専門家としての立場から記事や書籍の執筆をすることも。

駆け出しのFPは民間のカルチャースクールや大学に対し、FPの資格講座を持たせてもらえないか営業をかけることもあるようです。また、日本FP協会では「くらしとお金のFP相談室」という無料相談の場を設けており、相談員を公募しています。そういった人前に出る活動で実績を積みながら、知名度の向上を目指すのです。

麻子さん「ほかにも何かできることってありますか?」

先輩FP「ブログやSNSを活用するのも一つの手だよ」

インターネットは自身の活動を広めるにはうってつけの手段といえます。とくに相談事例は「事例の相談者は私と似たような境遇だけど、私の場合にはどういうアドバイスをしてくれるのだろう」とFPを探している人にとって重要な判断項目になるため、多くのFPがブログやSNSを使って紹介しています。

また、相談内容をシミュレーションすることもあると言います。例えばテレビドラマの登場人物の家庭や家計の状況を分析し、その情報をもとに悩みや課題を想定。イメージした相手にとって適切なアドバイスをブログなどで紹介します。相談者にとってはそのFPを知る参考になりますし、FPにとっても宣伝やどんなFPであるのかのイメージを掴んでもらう、ブランディングの効果があります。

FPは人脈が命!? チームプレーを実現する人脈力も必要

先輩FP「あとは、各種士業とのネットワーク形成も必要不可欠と言えるかな」

FPは幅広い専門知識を持ちますが、弁護士や税理士、司法書士など各分野のスペシャリストでないと対応できない業務もあります。とくに独占業務と呼ばれる、法律で資格保有者にのみ認められている業務はFPには行えません。

しかし、「その分野については専門外なので」と断ってしまえば、FPとしての信頼は失われてしまいます。FPは専門的な内容を含む依頼を受けたとき、ほかの専門家へバトンを繋ぐ役割も担っているのです。

そんな“連携”が求められる案件が訪れたとき、頼りになる知り合いのFPや士業の方を紹介し、一丸となって相談者のサポートを行います。その結果、悩みが解消されれば「FPに相談して良かった」という成功体験につながります。もちろん自分から紹介するだけではなく、誰かからバトンを渡されることもあるでしょう。

麻子さん「なるほど、私が助けを求めたり、反対に助けを求められたりすることもあるんですね!」

人脈を広げるには研修会や勉強会、あるいは昨今ではSNS上のコミュニティへ参加することも有効です。

日本FP協会でもエコノミストや著名人を招いて講演や交流が行われる「FPフェア」や、有志が自主的に開催する勉強会「スタディ・グループ」を奨励しており、FP同士や専門家とのネットワーク作りを支援しています。

FPの道はどこまでも続く……

FPは顧客から信頼され選ばることで、初めて知識や情報の提供を行うことができる存在である点から、『FP自身が商品』であるとも言えます。相談者からも同業者からも頼りにされる人気FPになるためには、情報発信で存在感を高めつつ、幅広いネットワークを持つ必要がある――そう気づいた麻子さんは相談業だけでなく、ブログの執筆やに勤しみ、交流会へも頻繁に参加するようになりました。

その結果、知り合いのFPから相談者を紹介される機会も増え、徐々にFPとして生計を立てられるめどがついてきました。まだまだ駆け出しの麻子さんですが、CFP®認定者となり、そして人気FPとなる日も、そう遠くないかもしれません。

 

取材・文/笠木渉太