資産運用業に注がれる視線が熱を帯びている。4月21日に公表された「資産運用業高度化プログレスレポート2023」で、金融庁が運用会社の経営体制やトップの人選などを問題視したのをはじめ、同26日には経済財政諮問会議で岸田文雄首相が「資産運用業等を抜本的に改革することが重要」と発言し、関係者を驚かせた。首相発言は翌日の大手経済紙の朝刊1面に載ったので、記憶している読者も多いだろう。岸田政権が資産所得倍増プランを表看板にしている以上、政府が資産運用ビジネスに関心を持つのは当然だが、「個別業界の経営に首相が口を出すのか」と違和感を持った向きもあるようだ。
しかし、首相発言で取り上げられたのは運用会社ではなく、「資産運用業等」だ。資産運用業等という言葉にどんな意味が込められているのか。政府が運用会社の経営体制も含めたプロダクトガバナンスに注力するのはなぜか。官邸、金融庁、そして資産運用業のトライアングルを追う。