「お任せ」できるツールにも、アドバイスは不可欠

牛山:コロナショックを経て、長期・積立・分散の資産運用に不安を覚えたお客さまもいると感じたりもしたので、相場環境が悪い中でもしっかり運用を続けていただくにはサポートが不可欠だと改めて感じました。資産運用サービスは、商品を提供したらそれで終わりではありません。いかに続けていただくか、老後までいかにきっちりと資産をつくっていただくかが重要だと感じるので、お客さまに寄り添って、一人ひとりに合わせた適切なコミュニケーションができるアドバイザーは、意味があると思います。

また、少し観点を広げると、個人のお金の悩みは幅が広く、資産運用はその一分野にすぎません。千差万別な悩みを総合的に見て解決をしていくのが人間のアドバイザーの強みです。人間とロボの得意分野をそれぞれ組み合わせることで、よりお客さまにメリットのあるサービスを提供できると思います。
また、われわれが運用エンジンを提供し、外部金融機関が対面で口座開設や運用開始後のフォローを行う「ハイブリッド」と呼ぶ形態では、一昨年から地域金融機関さんとのサービスも展開しており、提携先も増やしていきたいと考えています。

***

「投資一任型NISA口座」がパラダイムシフトを進める可能性も

わが国初の投資一任NISA口座は、働く世代の課題解決を目指した結果の産物で、はじめから日本初を狙ったものではないという。

それでも、自助努力が当然と考えられた非課税口座に投資一任サービスをもたらしたこと、課税・非課税口座を横断的に俯瞰し、アセット・ロケーションも組み込んで投資アドバイスの幅を広げたことの意義は大きい。
特に後者はアセット・アロケーションと銘柄選択にとどまらない、投資一任サービスの伸びしろに気付くきっかけとなった。

何よりも、差別化競争を生き抜いてきた金融のプロ集団が、個人を投資ストレスから解放すべく、存在感を消しかねない機能にも知見を注ぎ始めたことが、わが国のパラダイムシフトを予感させる。