ロボアドの“始祖”は四半世紀前に誕生していた

ここ数年で一般に浸透しつつあるロボアドバイザーだが、米国でロボアドバイザーが誕生したのは2008年、金融危機の最中である。しかし「元祖ロボアドバイザー」とも言うべきその原型は、1996年、働く世代の老後の資産形成を支えるために生まれた。

当時の米国では、老後の資産形成手段の主役が伝統的な企業年金から企業型確定拠出年金に変わりつつあった。つまり個人は、これを国や企業に任せきりにするのではなく、自ら行わなければならないことを思い知らされつつあった。またこの過程で、老後の資産形成に効果的なのはその道のプロである年金基金の運用手法を真似ることだと学んだ。単に割安・優良企業を発掘してその値上がり期待に賭けた集中投資をするのではなく、時間と資産を分散しながらポートフォリオを組んで、資産全体の長期的なパフォーマンス向上を目指すべきであると認識するようになったのである。

もっとも、こうした現代ポートフォリオ理論の理解を深めても、それを実践できるとは限らない。また、投資対象の選択肢が多過ぎるとかえって選べなくなるといった現象も起きていた。

こうした課題を解決するために、元祖ロボアドバイザーは企業型確定拠出年金で採択された銘柄のポートフォリオをオンライン上で提案し始めたが、個人はこれを参考に売買の指示を出す必要があった。しかし、提案通りに取引をする個人が少なからずいるのであれば、これを自動化したいと考えるのも無理はない。先駆者であったファイナンシャル・エンジン社は、2004年より投資一任版も提供し始めた。