「アドバイスなし」を上回る成果で存在感を表したロボアド

現代型のロボアドバイザーは2008年、時価の上昇期待に基づく投資アドバイスが提供しにくくなった中で誕生した。年金の非課税口座の世界で育ったロボアドバイザーが、ETFで費用を抑えながら、一般の課税口座の世界に参入してきたのである。

同時期、対面チャネルはその存在意義を賭け、値上がり期待に依存しない投資アドバイスも発展させた。ETFの活用といったコスト削減アドバイスを自ら口にし、どの口座にどの資産をどのタイミングでどれくらい投資するかといったアセット・ロケーションや、税引き後のリターンの最大化を目指す税最適化サービス等も盛り込むようになったのである。
こうした動きは、後に対面チャネルとロボアドバイザーを融合させたハイブリッド・サービスを生んだ。さらに最近では、アセット・アロケーションと銘柄選択以外にも広がった新たな投資アドバイス機能の一部が、ロボアドバイザーによって自動化されつつある。

オンライン・アドバイスで先行した企業型確定拠出年金の2006年から2012年の調査では、アドバイスを得た個人(ターゲット・デート・ファンド、オンライン・アドバイス、投資一任サービスの利用者)のほうが、自助努力で運用した個人よりも年平均の投資リターンが3.32%高いことが分かった。

これは、20年間の投資で資産が2倍近くなることを意味する。こうして米国では、現役世代の老後に向けた資産形成手段のひとつとして、ロボアドバイザーの存在感がますます高まった。

翻ってわが国に目を転じると、投資人口がまだ少ないにもかかわらず、現役層は自助努力による老後の資産形成を求められてきた。しかしわが国でも2021年2月17日、ロボアドバイザーサービス最大手のウェルスナビ社がNISA口座で運用を自動的に行う日本初の機能「おまかせNISA」の提供を開始した。