菅首相による宣言、経団連の決意表明…日本でも変革の動き
2020年10月、菅首相が所信表明演説でカーボンニュートラル宣言を発表。翌年4月には温室効果ガスの具体的な削減目標を発表した。日本では化石燃料への依存度が高く、国際エネルギー機関(IEA)の調査では、再生可能エネルギーの利用率が約22%。活用が進む欧州連合(EU)27カ国の38%に比べると低水準にあり、脱炭素化に向けた取り組みに出遅れていることは否めない。
政府は2020年から、2018年に策定したエネルギー基本計画の見直しを開始し、再生可能エネルギーの導入拡大を念頭に置いている。また、グリーン成長戦略として14の分野で実行計画を策定。予算・税・規制改革・標準化・国際連携における取り組みを通じて脱炭素化を推進する。菅首相の宣言・目標を受けて、2020年末には経団連も取り組みを進める決意表明が公表された。
脱炭素への移行で遅れをとると、企業の社会的信用が失われるだけでない。Appleなどの巨大企業が、脱炭素に向けて舵を切る流れはさらに加速し、そうすれば、その製品に関連する膨大な供給網にいる数多の企業もその流れに乗らざるをえない。日本企業がその波に乗り遅れれば国際競争力、ひいては国力の低下につながりかねない。
今後の焦点はやはりアメリカと中国
今後は二酸化炭素排出量が大きく、かつ影響力のあるアメリカ・中国の今後の動向が鍵を握るだろう。2021年6月に開催された7カ国首脳会議(G7サミット)では2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロとする目標を掲げるとともに、世界最大の排出国である中国に対策強化を求める方針で一致した。今後、対立する両国が脱炭素に向けていかに協調していくが焦点になるだろう。
脱炭素は特定の企業分野ではなく、国際社会全体で移行していくもの。主要国が取り組みを牽引していく役割は大きく、その動向が注目される。