再生可能エネルギーの利用が鍵
脱炭素社会を目指すうえで欠かせないのが、太陽光や風力などを用いる再生可能エネルギー技術だ。一連の発電サイクルにおける二酸化炭素の排出量は、石炭・石油・天然ガスの火力発電にくらべはるかに少ない。これをどう置き換えていくかに、脱炭素実現の成否がかかっている。再生可能エネルギーの利用には、どのようなものがあるかを見てみよう。
1.太陽光発電
半導体に光を当てると電気が生じる「光電効果」という仕組みを使い、枯渇しない太陽光で発電する。主に利用される太陽電池(ソーラーパネルなど)は2種類のシリコン半導体を重ね合わせたもの。発電時に騒音や排気ガスを発生しないので、設置場所は選ばない利点がある。反対に運用上のデメリットとしては、天候に左右されるため発電量が安定しないほか、飛来物などの衝突で故障する危険性などが挙げられる。
2.風力発電
風力発電機として巨大な風車を風の力で回転させ、その動力で発電するもの。他の再生可能エネルギーに比べて発電コストが低く、経済性に優れている。風力が弱いと発電量が落ちるという懸念点があり、台風などで風が強すぎても運用できない。また、騒音の発生や風況を考慮する必要があるなど、設置場所は限られてくる。整備箇所で大別すると「陸上」と「洋上」がある。洋上の方がより大きな風力を安定的に得ることができ、主にヨーロッパで普及が進む。
3.水力発電
勢いのある水流でポンプ水車を高速回転させ、水車につながった発電機を動かすことで発電を行う。ダムの利用など、水の位置エネルギーを利用して運用する。落差を作る形式や水量の利用方法により、様々な形式が存在。エネルギーの変換効率は約80%と、太陽光の約20%や風力の約20〜40%などと比べて、著しく大きい。一方で降水量によって発電量が左右されるほか、大規模なダムを利用する場合は多額の初期費用がかかるなど課題もある。
4. その他
水素の利用:地球上に大量に存在し、酸素を反応させて電気エネルギーに変えられるほか、そのまま燃料として使うことも可能。燃焼時には水しか発生しない。
バイオマスの利用:化石燃料以外の動植物から生まれた有機性資源のこと。エネルギーとして利用できるものには間伐材や製紙工場廃材といった林産資源、農産物残渣などがある。二酸化炭素を吸収する直物由来のものであることから、再生可能エネルギーとして扱われる。化石燃料は数億年前の二酸化炭素を現代に発生させているという点で、バイオマスとは異なる。
地熱発電:火山付近の地下における高温の蒸気や熱水によりタービン発電機を回し発電する。太陽光や風力と比べて、設備を作れば安定的な電力供給ができる。