なぜ脱炭素は話題なのか? 誰がいつまでにやるのか?

なぜ今、脱炭素が話題になっているのか。それは気候変動によって生じる自然災害などへの対策が、世界で取り組むべき課題との共通認識として、確固たるものになるつつあるからだ。

世界経済フォーラムが2021年1月に公表した「グローバルリスク報告書」では、今後10年で最も発生する可能性が高いリスクとして、第1位に気候変動、第2位にその緩和・対策への失敗が挙げられている。

世界各国はこれまで、脱炭素に向けた合意形成を図ってきた。1992年には国連で、大気中の温室効果ガスの濃度を安定化させることを目標とする「気候変動に関する国際連合枠組条約」が採択。同条約に基づき、1995年から毎年、気候変動枠組条約締約国会議(COP)が開催されている。

2019年に米トランプ全大統領が離脱し、2021年にバイデン大統領のもと復帰した「パリ協定」はCOP21(第21回会議)で合意されたもの。同協定では削減目標を5年ごとに提出・更新することや、取り組みの可視化がルールとして盛り込まれている。会議に先立ち、各国は温室効果ガスの削減目標を約束草案として提出した。いくつかの国を見てみよう。

出所:全国地球温暖化防止活動推進センター「各国の温室効果ガス削減目標」

なお、IEA(国際エネルギー機関)の調査では、2018年時点における二酸化炭素の排出量第1位は中国、第2位がアメリカ。両国を合わせると世界全体の排出量の4割以上を占め、この2カ国の動きは世界の気候変動対策を左右するものと言える。