世界のETF市場の規模はどれくらいなのか?
一方、世界全体の同時期(2020年12月末時点)における純資産残高は約7兆7370億ドル(約800兆円)。中でも世界最大のETF市場であるアメリカは、日本の約10倍以上の約5兆3160億ドル(約550兆円)の規模を誇っており、個人にも広く利用されています。
アメリカでこれほどまでに広がった理由には、複合的な要因があると考えられますが、一因として、IFA(Independent Financial Advisor:独立系ファイナンシャルアドバイザー)の文化が早くから根付いていたことが影響しているとも言われます。アメリカのIFA は、証券取引委員会(SEC)にブローカー・ディーラーとして登録する者と、投資顧問業者(RIA:Registered Investment Advisor)として登録する形態があり、後者については資産残高に応じて手数料を取る報酬体系が一般的であるため、保有コストが低いETFと相性が良く、実際に広く利用されてきました。日本のIFAも近年、本場アメリカのように資産残高に応じた手数料の報酬体系に変更する動きもあり、そうした観点でも、日本のETFの成長・拡大余力はまだまだ大きいものと想像しています。
コストが低く、透明性があり、市場で機動的に売買できるといった特性を持ち、世界中で利用が拡大しているETFという金融商品を、この機会にぜひ、日本の個人投資家の皆様にも知っていただけると幸いです
次回は、ETFの最新のトレンド等について紹介していきます。
なお、本稿の内容は筆者個人の見解によるものであり、筆者が所属する東京証券取引所の公式見解を示すものではないことをお断りしておきます。
※受益者数の定義については、各ETFの2020年7月31日以前に到来した最終決算日現在の受益者名簿に基づき算出した数値である。またETF間の名寄せを行うことができないため、全ETF合計の算出にあたっては、各ETFの受益者数を単純に合算した「延べ人数」を用いている。そのため、1 人で10 銘柄保有している受益者は、全ETFの合計において10 名の受益者としてカウントしている。