総資産3400万円のうち、預金は300万円……リスク商品に偏った配分

他の保有資産についても確認していくと、証券会社からお勧めされて購入した投資信託や外国債券、そのほか株式などを保有していました。

具体的な内容としては700万円分の投資信託を3本保有しており、1つは国内外の株式や債券を含めてさまざまな資産に分散投資を行う商品。残りの2つは、デンマークのカバード債券(複数の住宅ローンなどを担保として発行される債券)に投資を行う商品と、J-REIT(不動産投資信託)投信を保有していました。

外国債券はロシア通貨のルーブル建てで、為替相場の変動によって価格が変動する商品です。このほかに保有していた個別株式は購入されたわけではなく、「EB債」が償還期限を迎え、株式として交付されたものでした。EB債とは、満期のときに受け取れる金額が株価に連動する債券のこと。債券という性質上、年に1〜2回利息が入ってくる仕組みですが、仮に投資開始時期は株価が100万円で満期のときに60万円まで下がっていると、金銭で受け取る代わりに60万円の価値の株式が戻ってくるという複雑な仕組みです。近藤さんは、はじめは株式よりも価格変動の小さい債券だ、と思って購入したものの、償還されて初めて、手に入るのが現金ではなくリスクの高い株式だったと気付いたと言います。

その方のリスク許容度(どれだけの価格変動に耐えられるか)に合っていれば問題はないのですが、外貨建ての債券もEB債、近藤さんにとってはリスクが高過ぎる商品だったと言わざるを得ません。

このように保有資産を聞いていくと、3400万円ある資産のうち、価格が変動する金融商品に3100万円ものお金を振り分けている状況。建築系の自営業は、ケガや病気がそのまま休業に直結するだけに、会社勤め以上に「働けなくなる状態」に備える必要があるのですが、預金は300万円と総資産の1割にも満たない金額。明らかにリスクを取り過ぎていました。