まずはローンを返済 「脱・危機的状況」を図る
しかし、リスク商品に大き過ぎるお金を振り分けていることに対し、ご本人はそこまで危機意識を持っている様子がなかったので、大き過ぎるリスクを取っている現状をご説明することから始めました。
今ある全資産、3400万をベースに、「現在の生活を維持していく」「ご主人は70歳で引退する」という前提でキャッシュフロー表を作成すると、単純計算で90歳までに全財産を使い果たしてしまうという試算結果が出てきました。逆に言えば、3100万円の運用資産が少しでもマイナスになってしまうと、90歳まで保たないというわけです。
加えて、近藤さんがソーラーパネル購入のために組んだローンには、住宅ローンとは異なり契約者の方が亡くなったときに返済が免除される団体信用生命保険のようなものが付帯されていません。しかも、電気の買取価格は下降傾向にありますから、契約者であるご主人が亡くなった場合、専業主婦の奥さんがローンを返済し続ける未来がないとも言い切れないでしょう。
さらに、3本保有している投資信託のうち、1つの商品はこれまでの運用実績が年率2.4〜2.5%程度だということが分かりました。一方で、ローンの金利は2.3%。不確実なリスク性商品で2.4%のリターンを目指すよりも、年2.3%の利息負担を解消したほうがよさそうです。完済までの期間の長い700万円分のローンを返せれば、月当たり7万円もの負担減になります。
総資産3400万円という金額の大きさになんとなく安心してしまっていた近藤さんですが、この試算結果を見て、ご自身の状況に危機感をお持ちになったようです。こうした点を説明した上で、ひとまず含み損にはなっていない700万円分の投資信託を売却して預金の比率を1000万円へと高め、2本あるローンのうち、返済期限が先に来る方の1本を完済してはどうかとご提案。近藤さんのご納得の下この方針で進めることとなり、月々のローン返済額は15万円から8万円と、かなり小さくなりました。
この他、結果的に「損切り」にはなりましたが、株式についても一部を売却したり、付き合いで続けていた個人年金保険を解約したりして、生活防衛資金となる現金の比率を向上させていきました。