50代サラリーマンを待ち受ける2つの「収入の崖」

「年功序列型」の賃金体系は崩壊したと言われて久しいのですが、今の50代は、年齢に応じて比較的順調に収入を増やしてきた世代ではないでしょうか。多くは、50代前半にサラリーマン人生を通じての給与のピークを迎えています。

だからといって、油断は禁物です。50歳からの10年間は、サラリーマン人生で最も収入の変化が大きい時期でもあるからです。50代後半に待ち構えているのが、2つの大きな「収入ダウンの崖」です。

最初の「崖」は部課長職の人などを対象にした「役職定年」で、55歳や57歳に設定している企業が多いようです。基本給・役職手当・賞与などが見直され、年収が一気に3割程度減ってしまう人もいます。「崖」と呼ばれる理由は、この落差の大きさにあるようです。

そして、役職定年から数年後にやって来る「定年」がもう一つの「崖」となります。完全リタイアなら60歳以降は無収入になりますし、雇用延長や再雇用を選んだ場合も、現行の在職老齢年金の制度(「働いたら損」ではなくなる!制度改正で変わる在職老齢年金の基準額を参照)に配慮して年収を200万~400万円程度に抑えている企業が多いようです。

近年は「老後貧乏」「定年後破綻」などリタイア後ばかりが不安視される傾向にありますが、ファイナンシャルプランナーの方に伺うと、実は、この“50代クライシス”で行き詰まってしまう家計が少なくないのです。しかも、高収入で暮らし向きのいい家庭ほどリスクが高いといいます。