高収入の家庭ほど陥りやすい“自転車操業家計”の落とし穴

なぜ、高収入世帯が「定年前破綻」してしまうのでしょうか。

一番の要因は、いったん広げた家計の風呂敷を、そう簡単にはたためないことにあります。趣味の外国車やゴルフやお酒、ママ友とのホテルランチやエステ……。頭の隅では「浪費」だと認識していても、それが習慣化してしまうと、なかなかやめられません。結果として、収入は「サラリーマン人生で最高」にもかかわらず、毎月の家計収支は良くてトントン、悪ければ月々の赤字をボーナスで穴埋めする生活が常態化することになります。

“自転車操業”が回っているうちはいいのですが、役職定年や定年による収支の悪化がトリガーとなり、一気に家計が崩壊してしまうのです。

役職定年の前に家計の見直しを 支出は3割減らしておきたい

このタイミングで資産家の親から多額の遺産を相続するようなことがあれば、50代クライシスを乗り切ることができるかもしれません。しかし、誰もがそうした幸運に預かれるわけではありませんし、また、それでは本質的な問題の解決にはなりません。

家計健全化に有効な唯一のソリューションはコストカット、つまり家計の見直しです。ポイントは、役職定年を迎える前に収入減を想定して、あらかじめ支出を3割程度減らしておくことです。

支出3割カットと聞くと「絶対無理!」と思うかもしれません。しかし、一般的な50代の家庭には、30~40代のファミリーと比較して圧倒的に大きなアドバンテージがあります。まず、子どもが独立して子育て費の負担から解放されます。扶養家族が減るわけですから、その分、生命保険の死亡保障も減らせます。住宅ローンを返済中の方なら、そろそろゴールが見えてきたのではないでしょうか。

もちろん、“自助努力”も大切です。いきなり趣味やエステ通いを止めてしまうのは精神衛生上よろしくないと思いますから、まずは「減らす」ことを実践してはいかがでしょうか。お金がかかる趣味が複数あったら1つに絞る、エステやホテルランチは月1回までにする、といった具合です。

“ウィズコロナ”の下、家族で手料理の食卓を囲む回数を増やせば、節約だけでなく健康の維持にもつながります。筆者の知人は外食がしにくくなったことから生協の宅配を使った自炊に切り替え、毎月10万円を超えていた食費が半減、コレステロールや中性脂肪も正常値に戻ったと話してくれました。