定年後の家計や特別支出の予想は、夫婦でやることで確度がアップ
さらに、現在の家計支出をベースに、リタイア後の家計支出を予想してみます。子どもの教育費負担がなくなる、同僚や取引先との飲み代が減る、在宅が多くなるので光熱費や食費がやや増える――など、定年前後の生活様式の変化を踏まえ、ご夫婦で意見交換をしながら各費目を確認していくことをお勧めします。
ご夫婦の共同作業としてもう一つ、リタイア後の特別支出についても検討しておきましょう。家のリフォーム代、車や大型家電の買い替え費用、子どもの結婚資金、海外旅行資金――など、毎月の家計支出に含まれないまとまった額の支出を、おおまかな時期と合わせてリストアップします。
ここまでの数字が出揃ったら、60歳からの生涯の家計収支をざっくり計算してみましょう(インフレ率は考慮しません)。男性が約81歳、女性が約87歳の平均寿命まで生きることを前提に、収入の部では60歳時点の金融資産と公的年金、DC、個人年金保険などの支給総額を合計します。支出の部は前述の毎月の生活費に21年分であれば252(月数)を乗じ、そこに特別支出を加えます。最後に総収入から総支出を差し引いた数字が、現時点でのあなたの生涯収支ということになります。
生涯収支はプラスでしたか、マイナスでしたか。仮にマイナスだったとしても、即、“お先真っ暗”ということにはなりません。多くの方は生涯収支がマイナスになっている可能性が大きく、むしろ50代でその事実に気付くことの方が重要です。60歳以降も働いて総収入を増やす、家計を見直して総支出を抑える――など、対処方法は幾つもあるからです。
ちなみに、60歳以降に継続雇用・再雇用を選ぶ人は約8割に上っています。その際、多くの企業では50代に比べて大幅減収となりますが、減収幅が25%を超える場合は雇用保険から一部を補填する制度(高年齢雇用継続給付)もあります。勤務先の継続雇用・再雇用の制度は政策次第で変更される可能性があり、最新動向を常にアップデートしておきたいところです。
最後に、本文で挙げた10の項目をもう一度整理しておきます。