意外に多い年金加入履歴の漏れ、放っておくと受け取り額で大損をする
何度か転職を経験している方は、ねんきん定期便などで年金の加入履歴に漏れがないかも精査しておく必要があります。加入履歴の調査では、およそ9人に1人に記載漏れや誤りがあったことが確認されています。年金の受給期間は長期に亘るため、数年分の記載漏れでも受け取り総額に大きな違いが生じかねません。漏れが見つかった場合は、ねんきん定期便・ねんきんネット専用ダイヤル(0570-058-555)や、最寄りの年金事務所を通して問い合わせるといいでしょう。
リタイア後に受け取るお金としては、勤務先の確定拠出年金(DC)や、保険会社などの個人年金保険に加入している人もいることと思います。こうした上乗せ年金についても、勤務先や保険会社などに支給期間と支給額を確認しておきましょう。60歳でのリタイアを考えている方は、65歳の公的年金支給開始までの5年間が無収入になってしまいますが、この間にDCや個人年金保険を受け取れるようにすれば、貯蓄を大きく切り崩さなくても済みます。
50歳になると、勤務先で定年セミナーなどを受講する機会も出てくるでしょう。その際に必ずチェックしておきたいのが、定年退職時に支給される退職金の見込み額です。最近は受け取り方も多様化し、年金形式なども選択できるようになっています。こうした受け取り方についても、合わせて確認しておきましょう。
退職金支給額の見当が付いたら、定年時点での金融資産(見込み額)を算出してみましょう。①預貯金や有価証券・生命保険など保有資産の評価額(生命保険は60歳時点で解約した場合の返戻金の額)に、②60歳までに増加が見込まれる資産額、さらに③一括支給の退職金の見込み額を加えます。便宜上、前述したDCや個人年金保険は計算の対象外とします。
さて、これまでは主として定年後の収入や資産を取り上げてきましたが、定年後の支出についても考えてみましょう。
自宅の住宅ローンを支払っている方は、住宅ローンの残債と、残りの返済期間を確認します。毎月の給与やボーナスが入る今ならともかく、リタイア後のローンの支払いは家計の圧迫要因になりがちです。60歳以降もローン負担が残る方は、50代のうちに繰り上げ返済をして、ローン残高を圧縮しておきたいところです。