「ファンドラップ」やバランス型ファンドとの違い
ロボアドと商品性が似ているサービスに、証券会社が提供する「ファンドラップ」がある。資産運用のプロが投資信託を組み合わせて、ユーザーに合ったポートフォリオを作り、運用をしてくれるというものである。サービス内容は、自動運用型とほぼ同じと言ってよい。大きく違うのは、やはり手数料だ。
各社のファンドラップの手数料は投資金額の3%に設定されているものが多い。中には、大和証券が廉価版として販売している「ダイワファンドラップオンライン」のように1%のものもあるが、投資対象となる投資信託のコストは、他のファンドラップと同じく、割高であることは否めない。あえて選ぶ理由はまったく見当たらない。
また、バランス型ファンドも商品性はかなり似ている。バランス型ファンドは、さまざまな金融商品に投資をし、リバランスも行ってくれるからだ。一般的に、インデックスファンドよりも信託報酬などのコストは高いものの、自動運用型の手数料より低いものが増えている。インデックファンドを組み合わせた方が、ユーザーに合ったポートフォリオを構築できるはずだが、その利点は果たして手数料に見合うものなのか――後編では、実際の商品の運用成績を比較して、考察をしていく。
AIを過信すべきでない理由
最後にもう1つ、ロボアドに対するありがちな誤解を解いておきたい。アドバイス型、自動運用型を問わず、「ロボアドはAI(人工知能)を活用して運用されている」と称されることが多いが、これはちょっと大げさな表現だと思われる。ユーザーに対して最適なポートフォリオを構築したり、リバランスを行う際にAIが活用されているという触れ込みなのだが、実は、AIを使わなくてもそうした作業はできるからだ。資産運用に関わるプロであれば、エクセルを使えば難しくはないだろう。分析するデータは金融商品の過去の騰落率なので、条件を揃えれば、誰がやっても同じ結果になる。
リバランスは、年1~2回、多くても四半期ごとの4回が妥当だと考えられており、頻繁に行うものではない。「ロボアドバイザーはAIが自動で運用する」といわれると、AIロボットが、金融市場を24時間監視し、その時々の変化に応じて売買をするといったイメージが浮かぶ人もいるかもしれないが、年に数回、ポートフォリオの微調整をしてくれるだけである。AIを使っているのは事実かもしれないが、それが運用成績に大きく影響するとは考えにくい。セールストークと受け取るべきだろう。