気づかないうちに不利に? 制度変更の実態
退職年金の導入企業が見直しを行い、制度が変更されることもある。調査結果によれば、144社のうち、制度を「変更した」と回答した企業は36社で4分の1に達した。気になる変更内容だが、「予定利率・給付利率の引き上げ」と回答した企業は7社、「引き下げ」は2社だった。
もっとも長期的には、引き下げが引き上げを上回る状態が続いている。たとえば2018年4月に公表された同様の調査では、引き下げと回答した企業は14社に上り、引き上げは1社にとどまっていた。従業員にとって不利な変更が意外と行われているのだ。最近は金利も上昇していることから、今回の逆転につながった可能性もある。
退職年金制度の変更状況
退職年金も「会社への貢献」で差がつく?
退職年金の掛金は企業が拠出してくれるが、その金額はどのように決まっているのだろうか。調査結果によれば、「点数(ポイント)に単価を乗ずる」と回答した企業が最多で、年金の種類によらず4割程度を占めている。点数方式とは、一般的には勤続年数、従業員の能力や会社への貢献などに応じて点数を付与し、そこに決められた単価を乗じて掛金を算定する方法だ。会社への貢献度によっては同じ勤続年数の従業員でも掛金額に差が出るケースもあるかもしれない。
次いで多かったのは「算定基礎に定率(全員同率)を乗ずる」で、企業の標準的な給与に掛金率を乗ずる方法などが一般的だ。また割合は1割未満ながら、「定額(全員同額)」と回答した企業もある。
掛金の算定方式(調査産業計)
退職年金の実態を見てきたが、最後に税金面はどうだろうか。退職年金の受け取り方は企業によって定められており、一括、分割、併用などの方法がある。企業ごとに違うため確認が必要だ。一括の場合は「退職所得控除」、分割の場合は「公的年金等控除」の税制優遇措置が使える。その場合は雑所得として扱われるため、公的年金やパート・アルバイト収入などがあれば所得が合算され、結果として税負担が増す可能性もある。併用の場合は、一括分は退職所得控除、分割分は公的年金等控除の適用となる。いずれも受け取り方によって手取り額が変わる点には注意が必要だ。
調査概要 調査名:令和7年賃金事情等総合調査 調査主体:厚生労働省中央労働委員会 調査実施期間:2025年8月4日~9月12日 調査対象企業:380 社(資本金5億円以上かつ労働者1000人以上)、うち回答企業数 207 社(回収率54.5%)


