「石の上にも3年」は本当? 勤続年数で退職金ゼロのケースも
厚生労働省が2025年10月に公表した「新規学卒就職者の離職状況」によれば、新規学卒就職者のうち入社1年目で退職した人の割合は約12%にのぼる(2022年3月大学卒)。2000年初頭には15%台だったことを考えると減ってはいるものの、超売り手市場による転職のしやすさや退職代行サービスの台頭などもあり、退職に関して心理的なハードルが下がっていると見られ、今後は割合が増える可能性もある。
ところで、彼らは退職一時金をもらっているのだろうか。退職と一口にいっても大きくは会社都合と自己都合に分かれる。前者は倒産や人員整理などにより企業から雇用契約を解除されるもの、後者は転職など本人の意思によるものだ。どちらに該当するかで、退職一時金の受給資格が得られる所要年数にも違いがある。
調査結果によれば、会社都合の場合、所要年数で最も回答が多かったのは「1年未満」で76社(全体の約58%)。次いで「1年以上2年未満」(37社、約28%)だった。一方で自己都合の場合、最多回答は「3年以上」(67社、約51%)、次いで「1年以上2年未満」(34社、約26%)だった。自己都合のほうがより所要年数が長い傾向があり、入社1年目で退職した人のなかには退職一時金がゼロだったというケースもありそうだ。
退職一時金受給資格付与に要する所要年数
退職一時金の実態についてともに見てきたが、まとまった金額を受け取る際に気になるのが税金だ。退職一時金には「退職所得控除」が設けられており、勤続年数に応じて課税対象額を大きく圧縮できる仕組みとなっている。
たとえば勤続30年の人が2000万円の退職一時金を受け取る場合、退職所得控除額は1500万円にもなり、課税対象は残り500万円をさらに2分の1にした250万円となる。この250万円に所得税・住民税の税率を掛けて税額が算出される。このケースでの最終的な税負担は所得税・住民税合わせて40万円強にとどまる。2000万円に対してわずか2%程度となり、退職一時金の受取税制は非常に有利な仕組みとなっている。
●気になる退職年金制度については後編「退職年金「引き上げ」「引き下げ」どちらが多い? 最新調査が示す“意外な結果”に喜べない?ワケ」にて詳報する。
調査概要 調査名:令和7年賃金事情等総合調査 調査主体:厚生労働省中央労働委員会 調査実施期間:2025年8月4日~9月12日 調査対象企業:380 社(資本金5億円以上かつ労働者1000人以上)、うち回答企業数 207 社(回収率54.5%)

