(4)アベノミクスVS.サナエノミクス
高圧経済の4つ目の視点として、アベノミクスとサナエノミクスの比較を取り上げます。
アベノミクスでは〔図表13〕に示すとおり「三本の矢」を柱としていましたが、財政運営に関しては2度の消費税率引き上げを余儀なくされ、その影響もあり個人消費は低迷から脱することができませんでした。
また、成長戦略においては、非正規社員を中心に雇用は増加したものの、需要が弱い中で政府の役割を縮小させる構造改革や規制緩和を推進した結果、対外直接投資やインバウンド消費の拡大など、海外需要への依存度が高まる形となりました。
このように、最終的には金融政策への依存が強まらざるを得ず、各種の金融緩和策によってデフレからの脱却には成功したものの、物価上昇はディスインフレの域にとどまり、潜在成長率を押し上げるには至りませんでした。
[図表13]アベノミクスの3本の矢とその教訓
ただし、アベノミクス始動時と今回のサナエノミクス始動時とを比較すると、名目GDP規模は1.3倍、企業収益は2.2倍、東証の時価総額は3.9倍となっており、これらはアベノミクスの成果として評価できます。こうした企業の稼ぐ力や国富の大幅な拡大により、サナエノミクスにおいては政策を発動し得る余力が格段に広がっています〔図表14〕。
[図表14]アベノミクス始動時とサナエノミクス始動時との比較
そこで、サナエノミクスにおける成長戦略の内容をみると〔図表15〕、まず左側に示すとおり、経済安全保障上の重要度が高い6分野を新たに「国家戦略技術」として位置づけています。さらに、右上に示したAI・半導体など17の「戦略分野」に加え、右下に示されている8つの「分野横断的課題」を掲げ、官民連携による「危機管理投資」および「成長投資」を通じて、経済・社会課題の解決を図る強靭な経済構造の構築を目指しています。
特に、アベノミクス期において企業投資が対外直接投資へ偏重しがちであった点への反省を踏まえ、新技術立国の実現および国際競争力の強化に向け、国内投資を促す施策に着手しています。具体的には、全業種を対象として7%の設備投資減税(投資額の7%を法人税額から控除する税額控除方式、または投資全額を初年度に一括償却できる即時償却方式の選択制)の導入を決定するなど、国内での投資拡大を図る政策が打ち出されています。
[図表15]サナエノミクスでの成長戦略



