変わり始める親子の距離

それからまもなく、仕事を切り上げた宏臣が事務所から出てきた。宏臣は絵美たちの様子を見るや、問題が解決したことを悟ったのか、表情をほころばせた。

「パパ、私、カルボナーラとピザがいい」

「好きなもの頼んだらいいよ」

宏臣の車に乗り込んだ絵美たちは、急ぐことなく着実にレストランへと向かっていった。

 

    ◇

 

1カ月が過ぎたとき、リビングで晩酌をしていると宏臣がふと思い出したように口を開いた。

「そういえば、あれからみやびが小遣いをねだってくることはなくなったよ」

「あ、そうなんだ」

宏臣の言葉に、絵美は嬉しい気持ちになった。お金の大切さを学んでくれたらしい。

すると絵美のスマホの通知音が鳴った。

「あら」

画面を見て絵美は顔をほころばせる。

「どうかしたのか?」

「みやびちゃんからお誘い」

絵美は宏臣にスマホの画面を見せた。

「あれ、またやってるの?」

通知音はみやびから送られてきたキラコレタウン内のメッセージで、学校から帰ったら2人でクエストをクリアしようという内容だった。

絵美はもちろんと返事をしてスマホをテーブルに置いた。もっともっと仲良くなっていつか一緒に洋服でも買いに行けるようになったらいいなと思った。

※複数の事例から着想を得たフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。