<前編のあらすじ>

建築事務所の社長でバツイチ子持ちの宏臣と婚約した絵美は、彼の豪邸に圧倒されながらも、10歳の一人娘・みやびとはスマホゲームを通じて打ち解け、帰り際には「またね、お母さん」と呼んでもらえるほどの関係を築いた。

事務所を辞めて専業主婦となった絵美は新生活に順調になじんでいくが、宏臣がみやびに渡した3万円という額に驚き、言葉を失った。

みやびに使い道を尋ねると、友人へのおごりや洋服の購入に加え、宏臣のクレジットカードでゲーム内課金も自由にしていることが判明。絵美がお小遣いを減らす提案をすると、みやびは「意味分かんない」「ウザい」と拒絶し、部屋に閉じこもってしまった。

●前編【「ウザい」と一蹴された新米ママの絶望…小学生に月3万渡す婚約者の“歪んだ愛情”の裏側

婚約者に明かした娘との溝

「……みやびちゃんとケンカしちゃった」

絵美は会食から帰ってきた宏臣にぽつりとこぼした。

「え? 何かあったのか?」

「……あなたが今朝、お小遣いとして3万円を渡したでしょ。さすがにもらいすぎだから減らしたほうがよくないかって言ったの。そうしたら完全に拒否されちゃって。関係ないって言われちゃったわ。まあ確かにそんなことを私が言うのは出しゃばりだったかもしれないけど……」

絵美がそう言うと宏臣は眉をハの字にしてうつむいた。

「……そう、だよな。いや絵美の言ってることは正しいよ。みやびのためにはこんなことはやめたほうがいいと分かってるんだ」

「……でも2人で決めたことだって言われたらね」

宏臣は首を横に振る。

「違うんだよ。俺は仕事もあってみやびを1人にさせてしまうことが多かったからさ。せめて1人で過ごしているときに不自由しないように、お金を渡して好きに使わせてたんだ。でもよく考えたら、みやびとの関わり方がよく分からなくて、目をそらそうとしてただけなのかもしれない」

「そうだったんだ……」

「……ああ。俺からもみやびに話してみるよ」

宏臣からの話なら、みやびも素直に聞いてくれるのかもしれない。けれど絵美はあの子の母親になると決めたのだ。なら、もう少し頑張ってみてもいいんじゃないだろうか。

「ううん。もう少し私に任せて。ちゃんと仲直りもしたいし、きっとみやびちゃんだって分かってくれると思うから」

絵美は決意を言い聞かせるように、そう口にした。