親の管理と娘の反発

どんどん汐里が反抗的な態度になっているのは感じていた。ただ防犯のために言ってることをこうもむげにされる筋合いはこちらにはなかった。

「友達がいるから言ってるんでしょ。そりゃトラブルなんてないほうがいいけど、もしものときのために言ってるの。頭ごなしに否定するんじゃなくて一旦考えてから返事しなさいよ。私はあなたのためを思って言ってあげてるんだから」

美紀子の言葉に汐里はにらみ返してきた。

「余計なお世話だって言ってるの。せっかく楽しみにしてた旅行なのにお母さんの監視下にいるんじゃ台無しになるから」

「監視って……! 私は万が一のことを考えて言ってるのよ……!」

「どうせそれで居場所を知ったら電話してくるんでしょ? そこに行くなとかって。そういうのウザいから。私の楽しみを奪わないで」

美紀子は汐里をにらみ返した。

「あなたが羽目を外さないならこんなことをしないわよ。でもそうじゃないから言ってるの?」

「は? 何が?」

「無断外泊をするような人は信用できません。だからこっちでちゃんと見守る必要があるの。それは親としての務めだからね」

汐里はこちらに聞こえるように舌打ちをしてきた。

「まだ言ってんの? しつこ。ちゃんと泊まるって電話したって言ってんじゃん」

「夜には帰ってくるって言ってたでしょ! それが急に泊まるとか言い出して! そんな約束も守れないから私は心配してるのよ! そもそもあなたの友達はちゃんとしてる子なの? 変な人たちと付き合いがあるような子じゃないわよね⁉」

美紀子が声を荒げると汐里はそれ以上の怒鳴り声を上げた。

「友達のことを悪く言うなよ! 少なくともあんたよりも私のことを分かってくれてるわ!」

そう言って立ち上がって汐里に突き飛ばされ、ドアを閉められてしまった。美紀子はドアを叩いて汐里に声をかけたが無視を貫かれた。

「あーもうっ!」

美紀子は翌朝に無理矢理にでも持たせればいいと思ったが、そんな狙いを見抜いていたかのように汐里は美紀子たちが起きる前に家を出て行ってしまった。

●大学進学が決まった娘・汐里が自由登校期間に行動範囲を広げていくことに不安を募らせる美紀子。GPSをめぐって反発した汐里は両親に見つかる前に旅行に出発してしまうのだった…… 後編【「お母さんの価値観ばかりを押しつけられるのはうんざり」病院にかけつけた母との衝突…泣きながら告げた“娘のホンネ”】にて、詳細をお伝えします。

※複数の事例から着想を得たフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。