「これで自分も変われる…」希望を持って始めたビジネス

将来の生活に対する漠然とした不安や何か満たされない現状……。そんな隙間に「収入の柱になるかも」と始めたビジネスが、気づけば人間関係を大きく壊してしまうことも……。

52歳の佐藤美智子さん(仮名)は、郊外にある一軒家で夫と2人、静かな生活を送っていました。2人の子どもはすでに独立し、現在は近所のスーパーでレジ打ちのパート勤務をしています。

ある日、かつて働いていた会社で同僚だった友人・中村さんと久しぶりに再会し、ランチをともにしました。話題は健康や老後資金の不安へと移り、中村さんはある健康食品の話を熱心に語り始めました。

「今、市販のサプリって本当に危険なの。農薬まみれの原材料もあるって知ってる?」

さらに中村さんは年金制度についてもこう語ります。

「日本の年金なんてもう崩壊寸前よ。年金だけに頼っていたら、老後は生きていけない」

そんな話を聞くうちに、美智子さんの心にはこれまで感じたことのなかった不安が押し寄せてきたのでした。

後日、中村さんに誘われて健康食品を扱うネットワークビジネス(以下MLM)の説明会に参加した美智子さん。そこで語られたのは「あなたの将来の不安を解決し、経済的に自立できる夢のような仕組み」でした。

「今動けば、あなたにも『権利収入』が手に入るんです」

その言葉に、美智子さんは心を動かされたのです。自分も社会に取り残されずに済むかもしれない、老後も安心できるかもしれない。そんな淡い希望が胸に広がったのでした。