売上高上方修正は「対個人サービス」「繊維」「情報サービス」

続いて、9月短観の売上高計画を基に、大幅上方修正が見込まれる業種を選定してみたい。資料2は25年度の業種別売上高計画の前年比と修正率をまとめたものである。

 

 

結果を見ると、25年度は「物品賃貸」「その他情報通信」「電気・ガス」「鉱・採石・砂利採取」「石油・石炭製品」「鉄鋼」「非鉄金属」を除く多くの業種で増収計画となる中で、最大の上方修正率となっているのが「対個人サービス」である。それに「繊維」「情報サービス」が続く。

まず、「対個人サービス」については、「医療、福祉」や「教育、学習支援業」の一部などが含まれる。このため、人件費上昇などに伴うサービス価格の引き上げが上方修正の後ろ盾になっている可能性がある。また「繊維」では、半導体材料の需要回復が影響している可能性が示唆される。一方、「情報サービス」では、今回の9月短観でも25年度の中小製造業企業におけるソフトウェア投資計画が前年比2割以上増加となっているように、企業の課題解決型のシステム投資増などが寄与したと考えられる。それに続く「紙・パルプ」では製品価格の値上げ、「宿泊・飲食サービス」では万博やインバウンドに伴う需要増などが貢献した可能性がある。

従って、次の四半期決算における業績見通しでは、こうした業種に関連する企業について売上高計画がどの程度上方修正されるかが注目されよう。