激昂していた美奈子が姑に感謝
結局、翌朝になって、大型台風の影響で送電線が断裂してしまっていたことが分かった。停電は2日間に及び、さらに停電の影響で浄水場にまで影響が出て、断水も起こった。
しかし美奈子たちはその2日間、何不自由なく生活をすることができた。ポータブル電源があったおかげで電気を確保でき、水やポータブルのガスコンロなどもそろっていたために料理や風呂で困るようなこともなかった。
「お義母さん、ポータブル電源を買ったのは台風が来そうだったからなんですよね? そんなことにも気付かず頭ごなしに怒ってしまってごめんなさい」
美奈子はどこかで災害なんて他人事だと高をくくっていたのだろう。だからこそ喜代の行動が無駄に思えて仕方なかった。
「……謝らないで。私のほうこそ、勝手にお金を使うなんてどんな理由があっても良くなかったわ。きちんと相談をしなくちゃいけなかったと私も反省してたの。本当にごめんなさい」
「雨降って地固まるってやつだね」
「「馬鹿なこと言わないで」」
肩をすくめた卓夫に向けて思わず言った言葉が、偶然にもぴたりと重なって、美奈子と喜代は顔を見合わせて笑った。
※複数の事例から着想を得たフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。