10月のMPMまでにセットされたコミュニケーションの機会
さらに、先週のレポートでも紹介した政策委員の講演予定が(図表3)、上の推測を補強しているようにみえます。
<図表3 今後予定されている日銀政策委員の講演会>

9月29~30日に開催される10月MPMまでの間に、今回利上げ提案をした高田委員と田村委員を含む5名の政策委員の講演が6回予定されています。こんな短期間のうちにこれほど多くの講演が集中するのは異例のことであり、しかも、内田真一副総裁、植田和男総裁、田村委員の講演は定例のものですが、野口旭委員と高田委員は定例の講演ではありません。
いずれにせよ、これだけ講演を組んでいれば、10月利上げをさらに織り込ませることも、逆に情勢が変化して利上げをスキップすることになった場合に利上げの織り込みを低下させることも、どちらも可能です。
植田総裁は、米国経済の下振れリスクについて「これまでのところはそれほど顕現化していないが、今後出てくる可能性は依然として残っている」と記者会見で述べるなど、慎重な物言いを崩していません。
しかし、ここまで周到に10月MPMに向けた準備を日銀が進めていることを踏まえると、10月3日に出る9月の米雇用統計や金融市場の動きに波乱が起きなければ、10月MPMで利上げを実施する可能性が高いとみておいた方が良さそうです。