返礼品と税控除が魅力! とうたわれる「ふるさと納税」、今年は様子が違う!?
「ふるさと納税」が話題にのぼる時期というと、秋口から年末にかけてというのが通り相場でした。寄附の申込は1月1日から12月31日までなので、1年を通じていつでも申し込めるわけですが、その年の寄附金額に対する控除を受けるためには、年内に寄附を済ませておく必要があります。
寄附が完了したかどうかについては、寄附先の自治体から送られてくる寄附金受領証明書に記載された寄附年月日に示されます。たとえば寄附年月日が2025年1月1日から12月31日の範囲に収まっている場合は、2025年の寄付金額に対する控除になります。
「寄附」という言葉をいきなり用いてしまいましたが、まだふるさと納税をしたことがなく、これから始めてみようと考えている方のために、簡単にふるさと納税の概略を説明しておきましょう。
納税という名前を使ってはいますが、ふるさと納税の実態は「寄附」です。自分自身の故郷や応援したいと思える自治体など、自分の好きな寄附先を選んで寄附します。その際に2000円は自己負担となりますが、それを除いた寄附金全額が、ふるさと納税を行った年の所得税と、その翌年度の住民税から控除され、かつ寄附先の自治体からは、寄附金額の3割に相当する返礼品を受け取ることができます。
たとえば5万円をふるさと納税した場合、5万円から自己負担額である2000円を差し引いた4万8000円が所得税および住民税から控除され、かつ5万円の3割に相当する1万5000円相当の返礼品を、寄附先の自治体から受け取ることができます。
経済的にどれだけのトクがあるのかというと、
1.本来、自分が住んでいる自治体に納めるべき税金を、自分の故郷や応援したい自治体に寄附することで、自己満足感が得られる。
2.そのうえ、2000円の自己負担で1万5000円相当の返礼品が受け取れる。
ということになります。
ポイント付与が9月いっぱいでなくなる… → 駆け込み急増
そんなふるさと納税ですが、今年は話題にのぼるのがだいぶ早い時期からになりました。というのも昨年6月、総務省が告示した通り、「寄附に伴いポイント等の付与を行う者を通じた募集を2025年10月1日から禁止する」ことになったからです。
ふるさと納税に対するポイント付与は、「ふるさとプレミアム」、「ふるラボ」、「ふるなび」、「さとふる」、「楽天ふるさと納税」、「auPayふるさと納税」、「ふるさと本舗」あたりが高いポイント還元率で注目を集めていました。
何しろポイントは現金と同様に使うことができます。前述したふるさと納税の経済的メリットに、各ふるさと納税サイトが独自に展開しているポイント付与が加わったことで、ふるさと納税は極めて経済的メリットの高い制度になりました。
そのポイント付与が10月1日から禁止になるのですから、話題にならないはずがありません。すでに多くのふるさと納税サイトが、この9月中にキャンペーンを展開して、通常よりも高いポイントを付与しており、駆け込み需要を喚起しています。
実際、ふるさと納税の駆け込み需要は、かなりヒートアップしている模様です。北海道文化放送が報じたところでは、生乳生産量日本一とされる北海道別海町へのふるさと納税は、すでに8月時点で、2024年の同時期に比べて2倍に増えており、9月に入ってからは3倍以上に増えているということです。
ちなみに2024年度において、別海町がふるさと納税を通じて集めた寄附金は、全国5位の約173億円でした。特産のホタテが人気の返礼品です。