企業は賃上げ継続の意向を持つも、消費者の確信は弱い
一方、企業側の考えはどうだろうか。
5年後の給与所得
別の調査によると、企業は相応の賃上げ意向を持っていることが明らかになっている。特に上のグラフからは25年度に賃上げ実施見込みである企業のうち、中小企業も含め約3分の2が一定程度の確度で「今後5年間、毎年賃上げできそう」と答えていることが分かる。
ただし調査では「どれくらい賃金を上げるか」は聞いていない点とトランプ関税の影響を織り込んでいない点には注意が必要だ。
このように企業が賃上げに前向きでも、給与水準が比較的改善している若い世代においても「本当に賃金がずっと上がっていくのか」という点については十分に確信を持てていないようだ。
白書では政府や企業は賃金が継続的に上がるよう取り組み、賃金は上がるという意識を持てるようにすることが大切だと結んでいる。
重要なことはそのための施策である。「どうせ変わらない」とあきらめるのではなく、私たち一人ひとりが社会の動きに関心を持ち、建設的な意思を示していくことも求められるだろう。
調査概要 白書名:「令和7年度年次経済財政報告」 調査主体:内閣府 公表日:2025年7月29日