今後のマクロ環境が株価に与える影響

前節では、名目成長率や長期金利を元に過去20年間の年度データに基づいて、日経平均株価の関数を推計し、結果として少なくともこれまでの日経平均株価はある程度名目GDPや長期金利の動向で説明できる可能性が示された。そこで続いては、内閣府の中長期見通しにおける2025~2034年度の名目GDPと長期金利を外生変数として、シナリオごとに日経平均株価の水準を予測した。

このような想定の下で、シナリオ別の日経平均株価を比較したものが図表8である。過去投影ケースでは名目成長率が緩やかに低下して0%台後半で推移することが想定されているが、長期金利も1%台中盤と低位で推移することから、2030年時点で6万円台、2034年時点では8万円台の予測値となる。一方、名目成長率が2%台後半~3%台前半で推移し、長期金利も3%台前半~半ばまで上昇する成長移行および高成長実現ケースでは、2030年度時点の日経平均株価が9~10万円台、2034年に至っては19~21万円台まで到達することになる。