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要旨
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割引キャッシュフローモデルを仮定して、過去20年の年度データを元に日経平均株価関数を推計すると、名目GDPと長期金利の説明変数で92%程度説明できる。
内閣府が2025年8月に改定した中長期試算の現状維持ケースでは、TFP上昇率が直近の景気循環平均の0%台半ばで推移し、労働参加率が女性と高齢者を中心に一定程度上昇することで、名目成長率は+0%台後半、長期金利は1%台半ばで推移する。このケースを前提とすれば、株価関数から日経平均株価は2030年度に6万円台、2034年度に8万円台に到達すると試算。
同様に成長移行ケースでは、TFP上昇率が過去40年平均の1%強に到達し、労働参加率が女性と高齢者を中心に過去投影ケースよりも上昇することで、名目成長率は+2%台後半、長期金利は3%台前半まで上昇する。このケースを前提とすれば、株価関数から日経平均株価は2030年度に9万円台、2034年度に19万円台に到達すると試算される。
同様に高成長実現ケースでは、TFP上昇率がデフレに入る前の期間平均の1%台半ばに到達し、労働参加率が成長移行ケースと同様になることで、名目成長率は+3%台前半、長期金利は3%台中盤まで上昇する。このケースを前提とすれば、株価関数から日経平均株価は2030年度に10万円台、2034年度に21万円台に到達すると試算される。
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【10年後の日本株はどうなる?】日経平均は最高21万円へ - 内閣府「中長期試算」3つのシナリオを専門家が分析



国内外を覆う不確実性によって景気や市場を見通すことは困難を極めています。そこで国内屈指の著名エコノミストである、第一生命経済研究所の経済調査部で首席エコノミストの永濱利廣氏に、経済・市場の今後を読み解く手がかりになるテーマについて解説していただきました。 ※本稿は、8月27日掲載の第一生命経済研究所 経済調査部 首席エコノミスト、永濱 利廣氏のレポート「日経平均株価の長期推計~内閣府「中長期の経済財政に関する試算」をもとに~」を抜粋・再編集したものです。
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