リスク選好環境下での円売り圧力
ここから今後の材料について解説します。
米国ではS&P500指数やナスダック指数が史上最高値を更新しており、日本でもTOPIXが最高値を更新しました。欧州でもいくつかの株価指数が最高値を更新しており、市場はリスク選好に書傾斜しています。実際、VIX指数も15台まで低下してきました。円はリスク回避局面で買われやすいと連想されるだけに、こうしたリスク選好の環境ではむしろ売られやすい状況と言えます(10ページ)。
実際、投機筋の円のネットポジションを確認しておくと、ピーク時に約17.9万枚もあった円のネットのロングポジションはこれまでに約4割も縮小しており、それに合わせてドル円も141-2円を底に反発してきました。しばらくこの流れがドル円を支えそうです(11ページ)。
それでは来週の日米の主な予定を確認しておきます。週末の雇用統計を含め、米国では労働関連の指標が目白押しです。また、31日に日付が変わった午前3時にFOMCの結果が発表され、同じ日の昼頃に日銀の金融政策決定会合の結果も発表される予定です(12ページ)。
著者情報
内田稔
うちだみのり
高千穂大学 教授/FDAlco 外国為替アナリスト
1993年慶應義塾大学法学部政治学科を卒業後、東京銀行(現、三菱UFJ銀行)入行。マーケット業務を歴任し、2007年より外国為替のリサーチを担当。2011年4月からチーフアナリストとしてハウスビューの策定を統括。J-Money誌(旧ユーロマネー誌日本語版)の東京外国為替市場調査では、2013年より9年連続アナリスト個人ランキング部門第1位。2022年4月より高千穂大学に転じ、国際金融論や専門ゼミを担当。また、株式会社FDAlcoの為替アナリストとして為替市場の調査や分析といった実務を継続する傍らロイターコラム「外国為替フォーラム」、テレビ東京「ニュースモーニングサテライト」、News Picks等でも情報発信中。そのほか公益財団法人国際通貨研究所客員研究員、証券アナリストジャーナル編集委員会委員も兼任。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカルアナリスト協会認定アナリスト、国際公認投資アナリスト、日本金融学会会員、日本ファイナンス学会会員、経済学修士(京都産業大学)
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