案の定、法定相続分を主張する異母弟
婚外子がいる以上、彼を無視して相続の手続きを進めるわけにはいかないと聞かされ、やむを得ず、野口さんから連絡を入れてもらいました。
その結果、案の定というか、先方は法定相続分の相続を主張してきました。ご丁寧にも女性は母に対して「家庭に居場所がないと私の家に通いながら、妊娠が分かって出産するつもりだと告げたら『妻と別れるわけにはいかない』とごね出した。多少援助はしてもらったけれど、シングルマザーとして経済的にも精神的にも苦難を強いられた」と、相応の遺産はもらって当然と言わんばかりの恨み言を綴った手紙を寄越しました。
それを読んだ母は、怒りのあまり手紙を引き裂こうとし、私が慌てて止めました。母は父の急死以来ずっと体調が悪く、精神的にも不安定な状態が続いているので本当に心配でした。
私の異母弟に当たる男性は、大学卒業後も就職はせず、バンド活動を続けていると聞きました。アマチュアバンドですが定期的にライブハウスで公演を行い、それなりのファンはついているようでした。
ライブの動画が上がっていたのでこっそり見たら、眉毛が濃くて目鼻立ちのはっきりした昭和イケメン風の面差しが父によく似ていて、すぐにこの人だと分かりました。
一人っ子だとばかり思っていた自分に血のつながった弟がいた。その事実は確認できても、実感は全く湧いてきませんでした。こんな最悪の出会い方をしたのですから、当然と言えば当然です。