<前編のあらすじ>
建築関係の会社を経営する父を持つ坂倉珠希さん(仮名・40歳)は、会社役員として父の事業を支えていました。顧問税理士の息子から「遺言書の作成を頑なに拒み続ける人って実は家族に内緒の婚外子がいるケースが多いんだって」という不穏な話を聞かされても、実直で家族思いの父に限ってそんなことはないと信じていました。
しかし、父がくも膜下出血で急逝すると、恐れていた事態が現実となります。相続手続きの中で、父には認知した婚外子がいることが判明したのです。
●前編:4億円をめぐる相続問題に発展…遺言書作成を拒否した父がひた隠しにしていた「驚くべき秘密」
愛人はホームパーティにも顔を出していた
会社経営者である父は、母や顧問税理士の野口さんから勧められてもずっと遺言書の作成を避けていました。野口さんの息子である高校時代の同級生の野口君から、父のような人には家族に内緒の婚外子がいるケースが多いと聞かされても、私は半信半疑でした。
父は昭和の経営者で若い頃は特に仕事一筋でしたが、父なりに家族を大切に思っていることも分かっていたからです。実直で不器用な父が母に内緒で浮気をするなど、あまり想像できませんでした。
しかし、昨年夏にその父がくも膜下出血で急死し、野口さんが相続関係の調査をした結果、本当に婚外子がいたことが判明したのです。
婚外子は私よりひと回り下の男性で、父と愛人関係にあった取引先の女性との間に生まれた子供でした。そして、父は出産後間もなく彼のことを認知していました。
私は名前を聞いてもピンと来ませんでしたが、母はその女性のことをよく知っていたようです。一時期は父や母と一緒にゴルフのコースを回ったり、我が家のホームパーティに顔を出したりしていたらしく、「よくもまぁ、いけしゃあしゃあと」と怒り心頭でした。