上場前はコロナで苦戦 戻り鈍いが回復続く、今期も増収を計画

続いて業績を解説します。上場前も含めて推移を確認しましょう。

東京地下鉄は、多くの鉄道会社と同様にコロナ禍は苦戦しました。輸送人員が回復に向かったことから、23年3月期以降は黒字となっています。ただし、旅客収入はコロナ前を取り戻すには至っていません。25年1月~3月はコロナ前比95.9%にとどまります。定期外は同105.5%と堅調な一方、定期が同82.7%と戻りが鈍い状況です。

直近の25年3月期は増収増益でした。運輸業が都心部を中心に好調で、全体の増収の大半を旅客収入が占めました。不動産セグメントは、東急プラザ原宿「ハラカド」の開業などから増収となった一方、物件の取得費や開業費の増加などから減益で終わっています。

東京地下鉄の業績(2019年3月期~2025年3月期)を表した図表
 
出所:東京地下鉄 決算説明会資料より著者作成
 

次に今期(26年3月期)の見通しです。連結では増収増益の計画で、引き続き運輸業がけん引となる想定です。人件費や撤去費および電気料といった経費の増加を、旅客収入の伸びでカバーします。なお、不動産は物件売却に伴う賃貸収入減から減益、ライフ・ビジネスサービスは人件費の増加および店舗リニューアルの影響から減益の想定です。

【東京地下鉄の業績予想(2026年3月期)】

・営業収益:4206億円(+3.1%)
・営業利益:887億円(+2.0%)
・純利益:582億円(+8.3%)
※()は前期比
※2025年3月期時点における同社の予想

出所:東京地下鉄 決算短信