民営化で誕生、政府と東京都が大株主 都心で利益率に強み

まずは企業の概要を解説します。

東京地下鉄は2004年に設立されました。民間企業が1920年に地下鉄の整備に着手し、1941年に発足した帝都高速度交通営団が事業を引き継ぎます。その後、民営化に伴い誕生したのが東京地下鉄です。この経緯から、株式の50%は政府と東京都が保有します。上場前は政府が株式の過半を保有していましたが、上場時の売り出しで26.71%まで減少しました。とはいえ、現在も政府が筆頭株主です。

主力は鉄道事業です。東京都心を中心とした地下鉄ネットワークを手掛けます。人口が集中するエリアで営業していることから、営業利益率は鉄道会社でも高水準です。売り上げはJR系3社(東海、東日本、西日本)を大きく下回りますが、利益率はJR東海に次ぐ水準です。

主な鉄道会社の運輸関連セグメントの業績を表した図表(2025年3月期)
 
出所:各社の決算短信より著者作成
 

鉄道以外は不動産業や流通業および広告業が収益源です。不動産は主に「渋谷マークシティ」や「渋谷ヒカリエ」といったオフィスビルの賃貸や、ホテルの運営を手掛けます。

流通業は「エチカ」や「メトロ・エム」などの商業施設の運営、広告業は駅構内や車両内における広告を取り扱っています。また、路線を活用した光ファイバーの賃貸も手掛けます。

【セグメント情報(2025年3月期)】

東京地下鉄のセグメント情報を表した図表(2026年3月期)
 

※旧セグメント「流通・広告事業」はライフ・ビジネスサービスへ変更

出所:東京地下鉄 有価証券報告書および決算説明会資料