分散投資とは? なぜ損益の振れ幅が小さくなるのか
分散投資とは、資金を複数の異なる投資資産や銘柄に分散して投資することで、リスクを抑えることを狙う投資手法だ。
質問のように、1つの企業の株式だけにしか投資していないと、その企業が業績不振に陥って株価(市場からの評価)が下がったり、さらに財務内容の悪化などによって上場廃止に追い込まれたりした場合、投資家は投資資金の多くを失うことにつながる。一方、複数の企業の株式に分散投資すれば、一部の企業が不振でも他の企業が好調であれば損失を相殺できる可能性が高まる。
なお、投資信託は、プロの運用者が多数の対象資産に分散投資する運用商品だ。個人で複数の投資対象資産をあまねく保有するには限界がある。投資信託は、分散投資を検討する上で選択肢となりえる代表的な商品のひとつといえる。
調査回答者の金融リテラシーはどのくらい?
なお同調査では、「金利と債券価格の関係」「金利とインフレ率の関係」「分散投資の効果」の3つを質問しているが、それぞれの正解率を公表している。全問正解者の割合は以下のとおりだった。
全問正解者の割合
・投資経験者:30.1%
・投資未経験・検討者:9.8%
・投資未経験・未検討者:4.1%
これらの結果から、投資経験者でも全問正解は3割程度にとどまることが分かった。特に投資未経験・未検討者では、全問不正解の割合が64.2%と高く、金融経済教育の必要性が浮き彫りとなった。
なお、投資の有無にかかわらず年齢が上がるにつれ全問正解者の割合が高くなっている傾向にある。これは金融知識が経験とともに蓄積されていく可能性を示唆している。
疑問を放置せず、解決する癖をつけていこう
調査結果からは個人の金融リテラシーに改善の余地があることが分かる。特に若年層や投資未経験者において基本的な金融知識の普及が急務だ。金融リテラシーを高めることは、適切な資産形成や老後の資金計画に直結する重要な課題だ。より合理的な投資判断のためには金融知識に磨きをかけることが欠かせない。気になる疑問を放置せず、解決する癖をつけていくこともおすすめだ。
調査概要 調査名:「令和6年リスク性金融商品販売に係る顧客意識調査」 調査主体:金融庁 調査実施期間:2024年1月~2月 有効回答者数:9722人(全国18歳以上、金融機関従事者除く)