足元で減益、コストが重荷 今期はデータセンター売却で増益を計画
続いて業績を確認しましょう。
NTTは24年3月期に過去最高業績を達成しました。総合ICTやグローバル・ソリューションが好調だったほか、未稼働の通信設備といったノンコア資産の売却益が利益を押し上げました。
翌25年3月期は、引き続き増収となったものの、利益は大きめの減少です。営業利益は前期比14.2%減、純利益は同21.8%減となりました。減益は、前期のノンコア資産の売却益のはく落のほか、総合ICTで顧客基盤の強化やネットワーク品質向上に伴って発生したコストが主因です。営業利益は会社の見通しも下回っており、連結で約1600億円の下振れ、うち総合ICTが約1500億円の下振れとなりました。
なお、今期(26年3月期)は増益を予想します。主力の総合ICTは、コスト増の継続などから減益を見込みますが、グローバル・ソリューションでデータセンターの売却益を計上することなどにより、全体では前期比7.3%の営業増益となる計画です。また、売り上げは全セグメントで増加を見込みます。
【NTTの業績予想(2026年3月期)】
・営業収益:14兆1900億円(+3.5%)
・営業利益:1兆7700億円(+7.3%)
・純利益:1兆400億円(+4.0%)
※()は前期比
※2025年3月期時点における同社の予想
出所:NTT 決算短信
なお、上記の予想にNTTデータグループの完全子会社化の影響は反映されていません。 NTTデータグループは、25年3月末で保有比率57.76%の連結子会社でしたが、NTTによる完全子会社化を目的としたTOBが同年6月に成立しました。これにより、NTTデータグループの利益の流出はなくなる見通しであり、連結の純利益は上振れの可能性があることには留意しましょう。
文/若山卓也(わかやまFPサービス)