拠出限度額の引き上げ

iDeCoの第一号加入者の拠出限度額が、制度開始以来初めて引き上げられる予定です。

従来の月額6万8000円から月額7万5000円に引き上げられます。

また、第二号加入者・第四号加入者・第五号加入者の拠出限度額は6万2000円となり、第三号加入者のみ2万3000円で据え置かれます。

ただし第二号加入者の場合、他の企業年金制度の加入状況により、個々人で拠出上限額が異なります。6万2000円から他の企業年金制度の掛金等を差し引いた金額がiDeCoの拠出上限額となります。

企業型DCのマッチング拠出の要件変更 

現役世代にとって影響が大きいのが、マッチング拠出の要件変更です。

従来、マッチング拠出の金額は事業主掛金以下という要件がありましたが、この制限が外れます。

企業型DCの実施事業所への影響と加入者への影響の両面から考えてみましょう。

① 実施事業所への影響

マッチング拠出が活用できる事業所数は全体の22.2%、対象加入者数は49.1%です※。

8割近い事業所でマッチング拠出未導入ですが、その理由として大きいのが「事業主掛金が少額であるため」というものです。従って、事業主掛金以下という制約が外れれば、従業員の福利厚生の充実のためにマッチング拠出を再検討するきっかけになります。

施行日は公布の日から3年以内で政令に定める日となります。マッチング拠出導入には規約変更が必須ですから、制度未導入の事業所では今から準備に取り掛かる必要がありそうです。

※「確定拠出年金統計資料(2024年3月末)」運営管理機関連絡協議会

② マッチング拠出導入済み事業所の加入者への影響

企業型DCの事業主掛金が2万円未満の加入者 

現在は、マッチング拠出よりもiDeCoを活用した方が所得控除をフル活用できます。

改正法案の施行により、これまでの拠出限度額の使い残し部分がすべてマッチング拠出できるようになります。

・5万5000円-事業主掛金額(-他制度掛金相当額)

拠出できる金額が増えると、NISAとどちらがよいか等の疑問が発生するかもしれません。掛金が大きくなるとDC資産も増えて、給付時の税にも着目する必要があります。金融機関のコールセンターなど、相談できる場所を確認しておくといいでしょう。

企業型DCの事業主掛金が2万7500円以上3万1000円未満 

拠出限度額が6万2000円まで引き上げられるため、マッチング拠出額を増やせます。

ただし、DB制度がある企業で経過措置を利用している場合は、拠出限度額5万5000円が継続する見込みです。詳細は政省令により明確になります。

なお、加入者が経過措置の有無を知りたい場合、DCのWEBサイトにアクセスすれば確認できます(記録関連運営管理機関がJIS&T社の場合は「個人属性」の「個人登録情報照会」に記載されています)。

*この記事は2025年6月25日の情報に基づいて執筆しています